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ある日のある魔導学院の一幕 

医者を目指す私は学校に通いながら病院でアルバイトもし始めていた 
少し慣れた頃、私が担当してほしいと頼まれたのは特殊病棟。そこにいるのは魔力に拒絶反応を示す患者さん。名前はルスさん 
私は魔力が弱い上に魔力を使わない看護に慣れていたから任して貰えたのだ 

今日も体を拭くのとシーツを変えるのをやるべく部屋に向かう 

そこでこの日は珍しく、知らない声が聞こえた 
お見舞いの人が居るなら遠慮しようか迷い、様子を見ようと少しドアを開いた。するとそこに 
は星空が広がっていた 

 

「………綺麗……」 
思わず見とれて足を止める 
「すみません看護師さん、扉を閉めて頂けますか?」 
……あっ! 
「す、すみません!!」 
慌ててドアを閉める 
外に出ればよかったのに入ってしまった… 
「…初めてお目にかかりますよね?」 
そこにはぼさぼさ頭の癖っ毛の男の人。モノクルをかけていてちょっと神経質そうな雰囲気がした 
「新しい担当の看護師バイトさんだよ」 
「は、初めまして…!ルリア=ブックスと申します」 
「こいつは俺の親友!ステイリーな。何度か話したよな?気軽にステちゃんとでも呼んでやってな」 
…そう言えば星魔法を専攻しているお友達がいるって聞いた事があるな。真面目でいいやつって聞いた事ある。そうか、この人だったんだ 
「…おほん。初めまして、ルリアさん。ステイリー・ニグットと申します。ルスがお世話になっています」 
「はい。よろしくお願いします」 
気を取り直して丁寧に頭を下げた 
「そうそう、この看護師バイトちゃんことルリアちゃんも同じ学園生なんだってさ」 
「そうなのですか」 
「は、はい…」 
内気な私は初対面の男の人にどうして良いのかわからない 
星空に吃驚した気持ちが切り替わらず仕事モードに戻り切れないでいた 

急いで気を取り直そうとしたら部屋の中が普通に戻る 
「お仕事の邪魔になりそうですし帰ります」 
「あ…いえ、すみません…お邪魔して」 
「いえ、大丈夫ですよ」 
そう言って部屋から立ち去ろうとしてしまう 
そう思った瞬間、思わず叫んでた 
「あのっ…!魔法、素敵でし…た………」 
大きな声を出したのが恥ずかしくて俯く 
「…ありがとうございました」 
彼はお辞儀をして立ち去った 

「…びっくりした…」 
「あはは。あいつ身嗜み気にしないからな。でも良い奴だからよろしくしてやってくれな」 
吃驚したのは星の方だったんだけど…。まぁいいか 
「は、はいっ!あ…では体とシーツやりますね」 

私はいつも通りの作業に戻った 
これが、私と彼の出会いで全ての始まりだったのだった 




二度目の出会いは学園で 
本を片手に幻術を展開する 
「…学園の姿は…こうなって…」 
しかし細かく映像を映そうとすると魔法ごと崩れる 
「うぅ…」 
「学園を映すつもりですか?」 
「うひゃあああ!!!?」 
びっくりして本を落とした 

慌てて振り返るとそこには病院で会ったあのステイリーさん。 
彼は本を拾って草を叩き返してくれた 
「あ、ありがとうございます…」 
「すみません。驚かすつもりではなかったのですが…」 
「え、えと…ステイリーさん…。こんにちは」 
「こんにちは」 
「…あ…えと、今のは…まぁ…魔法の練習で…ルスさんに学園の風景を見せてみようと思いまして…」 
「…そうですか。わざわざルスの為にありがとうございます」 
「あ、いえ。担当任している患者さんですし…私に出来る事をしようと…。それだけです」 
患者さんは一人一人違う人間だから、ちゃんと対応をしてあげなさい 
それが父の教えだ 

思わず俯いた私に声がかけにくいのか相手も黙る。私も何を話して良いのかわからず二人して黙ってしまう 
どうしても仕事以外の時間はダメだ。気弱な自分が前面に出て上手く話せない 
どうしようと目線を動かしたらふと、彼の持つ本に目が行った 

「…あ、その本…」 
あれは!探していた魔力媒介についての新刊…! 
「それどこに売ってました!?」 
思わず食いつくように訪ねてしまった 
「…残念ながらもう売り切れてしまいました。私は予約していたので…」 
……やっぱり…… 
「…間抜けは辛いです…」 
特に医者はぼんやりしちゃいけないのにどうにも私はおっとりしているらしい 
予約とか頭に浮かばなかった…。本…読みたかったなぁ…。待てば図書館に入ってくれないかなぁ… 
「あの…よろしければ、読み終わったらお貸しましょうか?」 
「良いのですか!?」 
あの筆者の本はいつも新しい観点から論文を書いてくれる面白い人の新刊で 
欲しいけど無理ならせめて読みたい…! 
「は、はい」 
…しまった…。食いつき過ぎた…… 
相手が引いてる…は、恥ずかしい……… 
「……すみません…。本好きなのです…」 
「みたいですね…」 
「…はい……」 

また沈黙 
あぁ…穴があったら入りたい… 
「…では、変わりに私にもオススメの本を貸して下さい」 
それは、彼なりのフォローなのかもしれなかった 
「…は、はいっ!」 
何だか嬉しくなって思わず笑みが零れた 
勉強ばかりで人付き合いが上手くない私が、ようやくこの学院の人と話せたおかげかもしれない 

なんでか彼も少し俯いて目線を反らしたのだった 



それからしばらく経ったある日、図書館に行ったらステイリーさんを見かけた 

…………話し掛けてみようか迷う 
知人にはなれた…よね?前に話し掛けて貰えたから覚えて貰えてはいる…はず 

本の貸し借りの約束はまだ果たしてない 
あれからタイミングが合わなくて病院でも会ってない 
時間は経つほど約束は薄れていく 

話し掛けて…みようかな?た、たまには自分から動かなくちゃ…!! 
思い切って足を踏み出して一歩二歩 
こんにちは。その一言で良いんだ。それなら出来る…! 
「…こ…」 

「よ、ステイリーお前さんまた研究で閉じこもっているのか?程々にしろよ」 
「先生。申し訳ありません。後少しなので」 
……間が悪い時は悪いものだ……… 
絞り出そうとした勇気はあえなく萎み、気づかれずに奥に進んでしまった…… 


あの人に本を選ぶならどんなのだろう? 
さっき研究とか言われてたな。そういえばルスさんがあいつ研究の虫で未だに彼女も作らないでさー、とか言ってたな 

だったら学術書や伝記、歴史が面白いかも 
長編が大丈夫なら私も読んでるのを勧めたい…。そういえば私ももう一度読みたいかも 
本を手に取り席に移動する 
横目でステイリーさんを捜してみたら、本に向かって没頭していた 
……話してみたかったな 

また、星を見せてもらいたかった 



「……はっ…!」 

気付いたら夜 
これで何度目だろうか… 
面白い蔵書が多い図書館は一回入るとやめ時が見付からない 
また閉門に間に合わなくなってしまった… 

「…夜食食べよ…」 
引きこもり研究は半分黙認状態。図書館の中には食べ物も売ってる場所まである 
飲食専用スペースで一休みすると何人かお仲間がいてちょっと安心する 
ブランケットを借りて出てこうとしたら他の人の手とぶつかった 
「すみませ…」 
それはまさかのステイリーさんだった… 

緊張が走り抜ける。覚えられてる?忘れられてる? 
挨拶はするべき? 

ダメ、わからない 
無意識に顔が熱くなる。どうして良いのかわからないのが怖い。人付き合いが苦手すぎて怖い 
「失礼しました…!」 
いつもの癖で逃げ出そうとした。けど 
「あ、待って下さい、ルリアさん」 
……覚えて貰えていた…。名前を呼ばれて思わず足を止める 
「えと…私の事覚えていますか?」 
「は、はい…。ステイリーさん……」 
「はい。…えと……今晩は」 
「こ、今晩は……」 
こ、こういう時何を話せば良いの!?普通はどうするの? 
本の知識をひっくり返しても上手く出てこない 
「その…この前の約束の本…。もう手に出来たりしました?」 
「い、いえ…まだ…」 
「なら今丁度ありますし…読みますか?」 
「…は、はいっ……!」 
緊張のあまり手足が奮えそうになる 
忘れられてなかったんだ…。それは嬉しい 
「あ…!あの…私…も……本………選んで…みて……」 
これが私の今の精一杯の勇気だった 
しどろもどろ過ぎて変な子に絶対なってる。分かっててもどうにもならない 
「あ、では借りて良いですか?研究も区切りがついて朝まで読む本を探すつもりだったんです」 
……この人はいい人だ……!絶対私の事おかしいって思うはずなのに… 
「は、はいっ…!えと…では…」 
互いに相談して使ってた場所の中間に移動する事にした 


「…これです」 
いきなり長編を渡すのは気が引けたから歴史を元にした考察混じりの物語を出した 
「有り難うございます。では私も、どうぞ」 
「は、はい」 
本を受け取り互いに読みふける 
私は一回本を読み出すとダメだ。集中しすぎて隣に人がいる事すら忘れる 

借りた本は実に面白かった 
ひねた解釈なのに説得力もあって目新しい発見をくれる 
「……ふぅ……」 
「あ、終わりましたか?」 
…………うっかり忘れてたとは言えません…… 
「す、すみません…黙ってて…」 
何たる失態だろう…!隣に人が居たのに一言も放さなかったなんて…!! 
呆れた?戸惑った?どうしよう…!? 
「大丈夫です。私も集中してましたから」 
…いい人だ……!! 
「とても面白かったです」 
「わ、私も…です!」 
彼は貸した本のページを開いた 
「ここのシーンよかったですよね」 
開かれたのは戦争のシーン。作中一番の見どころで迫力があり、人間ドラマも盛り上がり最高潮のシーン 
「分かります…!ここで主人公が抱えていた問題を丁寧に絡めて使う手法が見事ですよね…!」 
「…はい」 
あ…。思わず熱くなってしまった……。恥ずかしい……穴があったら入りたい……… 
「この作者初めて読みましたけどきちんと歴史を調べて使う部分が良いですよね」 
「は…はいっ…!その作者はいつもそういうのを好んでいまして…物語にも教養やメッセージが詰まってて…」 
「へぇ。他にはどんなのがあるのですか?」 
気を使って貰えたのか、話題が続く 
「え、えとですね…!」 
もちうる限りの本の知識を総動員して作家について話してみた 
そしたら彼も自分が好きな作家について話してくれた 
……会話になってる…… 
そんな当たり前の事が嬉しい 
「そ、そうです。長編見ます?長いですがオススメで…」 
彼は一つあくびをした 
眠いのかな? 
「あ、すみません。昨日もあまり寝てなかったので。ですが読みます」 
「はい。では持ってきますね」 
私は席を立った 

……心臓がドキドキしていた 
こんなに長く人と話が出来たのは初めてだと思う 
嬉しい…。楽しい… 
けれど本を抱えて戻ったら、ステイリーさんは机に突っ伏して寝ていた 
「…眠そうでしたもんね…」 
くせっ毛が跳ねてたのが面白くて撫でてみる 

「ん…」 

軽く身じろぎされて思わず手を引いた。暫く待って寝入ってるのを確認する 
…さて、どうしようか 
医学的にも寝かすのがいいに決まってる 
けどこんな体勢じゃ体に悪い 
……考えた末私が出した結論は 

「…失礼します」 
ブランケットを多く貰ってきて床に敷く 
相手をゆっくり動かして優しく横にして枕代わりに膝にのせた 
「体冷やすの良くないですからね…」 
体にもブランケットをしっかりかけて危ないからモノクルを外す 
「お休みなさい」 
そういえば、私も小さな時はお母さんにやって貰ったな 
………これは医療行為医療行為……… 

背中を壁に預けて私も少し、寝ることにした 



朝方、日差しで目が覚めた。ステイリーさんはまだ寝ている 
ブランケットを直し暫くぼーとする 
そんな事をしていたら彼が動きだした 
「…ん……?」 
「あ…おはようございます」 
「……?おはよう…?」 
暫く覚醒しないタイプなのか彼はそのまま横になってる 
ちなみに私も同じ 
………意識がはっきりしてきたら、物凄い羞恥心がやってきた……… 

私、ただの知り合いに何してるの………? 

恥ずかしくなっても逃げれない 
足が痺れて痛い…… 
「あ…あの…そろそろ………」 
よく見たらまた寝ていた 
………どうしたら良いの!!? 
い、いや…!これは医療行為医療行為医療行為…………うん。大丈夫…………じゃない 
「……ステイリーさん…その…起きませんか…?」 
「…ん?……ルリアさん……?」 
「はい…。その…朝です……」 
彼はようやく意識が戻ったのか飛び起きた 
「あ、急に起きちゃダメです…!」 
案の定貧血を起こしてぐらりと傾くのを慌てて支える 
「………えと………これは一体どういう……」 
お、怒ってる!? 
そ、そうだよね…!ろくに話した事もない人に勝手に寝かしつけられてたら嫌だよね…… 
話せた事が嬉しかったのと夜中テンションマジックとはいえなんて事しちゃったんだろう…!! 
「……医療行為です…」 
嘘じゃなかった 
机で寝るのは体に悪い 
「……………すみませんでした……」 
お互い言葉につまる 
私はゆっくり足をほぐして立ち上がった 
「……こちらこそ申し訳ありませんでした…!忘れて下さい。……では…!」 
やっぱり、私は逃げるしか出来なかったのであった… 


後日 
憂鬱気分を引きずる私の前にステイリーさんが現れた 
「ちょっと時間くれませんか?」 
……これが世に言う呼び出し…別名仕返しの時間……… 
「…はい……」 
逃げる余地はなさそうだ 
せめて酷い目にあわない事を祈ろうと俯きながらついて行く 


着いたのはちょっとした湖のほとり 
他に人はいない 
「…あの…!この前は本当に申し訳ありませんでした…!勝手にあんな事…!」 
先手必勝 
頭を下げると彼はびっくりした 
「い、いえ。謝るのはこっちですから」 
「いえ!あれは私が勝手にやったので……」 
恥ずかしくて泣きそうになる 
何で私はこう上手く出来ないのだろう? 
「いえ、その…えと、これ。お詫びの品なんですけど…」 
目の前には可愛いマカロン 
「…甘いの大丈夫でしたらどうぞ…」 
………どこまでもいい人……!怒るどころかお詫びなんて 
「…有難うございます」 
受け取ると安堵した様子を感じた 
「……もし宜しければですが、また本選んで頂いて宜しいですか…?」 
「え!?わ、私でよければ……!!」 
「よかった。医療系専門でしたよね?少し知りたい事があるのです」 
具体的に言われなくても直感した。お友達の病気についてだろうって 
「はい…!では用意しますね」 
「よろしくお願いします」 
互いに目が合って、でもちょっと気まずくなって反らす 
けど私はもう逃げたいとは思っていなかった 


それから私達は、少しずつ話をするようになった 
共通の知人が出来たので、ルスさんとの会話は必然的にステイリーさんの話題が多くなった 
彼から聞くステイリーさんのお話は面白くて、楽しかった。ステイリーさんは恥ずかしいのか後で怒っていたけど 
そんなある日 

「お祭が近いんだって?もうそんな季節かー」 
「そうですね。ルスさんも参加したことありますか?」 

「おー、あるある。ステイリーもあるし過去の映像探してみなよ。…そっか。そんな時期か…。遠目からだけど眺めるからな」 
この病院の窓から学園が遠目に見える 
「…いえ私は出るか迷ってて」 
「どうしてさ?出たら?楽しいぜ?」 
「…魔力弱いですし、華やかな事出来ないですし…」 
「良いじゃん俺に見せてくれる幻術で。なぁステイリー」 
あ、今日は来た 
「そうですね。自らの努力の発表の場なのですから。派手でなくて構わないかと」 
…何だか認められた気がして嬉しい 
そうだな。それで良いのかも 
「そうですね。ありがとうございます。ステイリーさんの魔法も楽しみにしてますね」 
「あ…はい…」 
…プレッシャーかけてしまった? 
思わず不安になる 
「まぁ…何だ。ルリアちゃん。こいつただの元中二病なだけだからさ。よろしくしてやってな」 
え? 
「ルリアさんに変な事言・う・な!」 
「彼女の前だと澄まして喋るよなー、お前」 
「…普通だろ」 
「そうかー?」 
……そういえば、何だかんだでそれなりに話すようになった気がするなぁ… 
逃げないようなっただけ私の中では前進している 
「…別に普通にお話頂いても気にしませんが…」 
「……いえ…普通ですから…」 
…ルスさんに対してと比べたら…畏まってるのに… 
…本当は言ってみたい。友達になってくれませんか?って 
でも、うまく言葉に出せないまま 


病院を後にして、何となく一緒に帰る 
「…ルリアさんは後夜祭は出るのですか?」 
心臓がちょっと高鳴った 
「はい。お母さんのドレスが家にあって…貸して貰うつもりで送って貰って…。ステイリーさんは?」 
「…そういうのは苦手ですね」 
…そうなんだ。ちょっと残念 
「自由参加ですからね。私は壁の花になっています」 
「…誘いはないのですか?」 
「はい。勉強しかしてなくて…そういう相手はいないです…」 
互いにまた無言 

寮についてお互い別れる 
「それでは」 
「はい」 
…親しく話した男の人は貴方が初めてだから 
一人じゃ後夜祭は寂しいから 
そう言って誘ってみればよかったかな… 



そして不涸花杯が終わり、私は一人、テラスでのんびりしてる 
…今度会ったら友達になってくださいって言ってみようかな?大丈夫かな? 
ぼーっとしてたら見慣れない本を持った人が私の前に立った 

「おや、不涸花杯お疲れさまでした。 
貴女の魔法も拝見させていただきましたが大変素敵な魔法でしたよ。 
新しい魔法を試していたところなのですが…そうですね 
下も盛り上がってますしせっかくなので1曲、お相手願えますか?」 
………え!?その声はステイリーさん!!? 
髪型が…!!?なんだかもさもさじゃなくてすっきりしてる!? 
「え、えとえと私で宜しければお願いします!! 
そ、そちらの星の魔法もとてもとても素敵でした・・・!! 
一曲踊った後、是非新魔法も拝見させてください・・!あ、あとその手持ちの本も気になり・・す、すみません!まずはダンスですね!」 

頭の中は大混乱中 
それでもダンスは始まる 

「…別人みたいです」 
「…友人にやられました」 
ルスさんの事かな?あ、病院よって来たんだ 
友達思いだからな、この人 
「…来ると思いませんでした」 
「…まぁ色々ありましてね」 
後は何となく言葉が続かず互いにぎこちないダンスを踊る 
手から伝わる熱が心地いい 

これを機会に言いたかった事を伝えたい 

「あ…あの…!大事なお話があるのです…!」 
「な、何ですか?」 
「わ……私と………その…… 
お友達になって下さいませんか!!!??」 
い、言えた!! 
「友達…?」 
「そ、その…私…話すの下手で友達もろくにいなくて……す、すみません…ステイリーさんとはでもお話出来ていて…だから…」 
「…友達…」 
あ、あれ?やっぱり図々しかった!? 
不安になって見上げると相手は私の視線に気付いて少し顔を赤くして、そして笑ってくれた 
 

「…はい。こちらこそよろしくお願いいたします」 
「……はいっ!」 
学園祭を通して、私にもようやく友人が作れた…! 
これかも頑張ろう。うん 
だってこんなにも友達が出来るって嬉しいんだから 

いつもと違う外見の彼と踊る事に、高陽してるのはきっとお祭りの後だから 
きっと、そう 


でも少し、気になり始めた始まりだった

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