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さて、今宵はアリスの世界に皆様をご招待いたします 
メルヘンで可愛らしい楽しい世界、今宵ひと時の楽しみになりますように 
それでは開幕です 

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楽しい夢の始まり始まり 

sideルリア 

その日私は普通に寮で眠りについた 
そして…目が覚めると綺麗な庭にいた……… 

「…夢…?」 

芝生で寝てた覚えはない 

「…やはり夢でしょうか…?」 

「わぁ!?……ら、ラミィさん…!?」 

移動魔法科(多分)璃王さんの恋人(だと思う)ラミィさんが目の前にいた 
……物語のアリスみたいな格好で 

…私ラミィさんとは話した事ないのに何で夢に? 
あ、この前彼女の存在を考えてたから? 
ここは夢。それならちょっと気楽に話す位… 

「…ルリアさん?今晩は…?」 

「こ…今晩は…」 

二人して頭を下げる 

「…リアルな夢ですね」 

全くだ 

「そうですね…。あ、あの…でも…話してみたかったので嬉しいです…!」 

「…そうですか…」 

う、淡々とした反応…… 
嫌がられたかな…? 

「有難うございます」 

あれ?そんなでもない? 

「い、いえ…。しかし…ここは…?それにラミィさん…アリスみたいですね」 

「ルリアさんもです」 

「え?」 

慌てて体を見たら私まで可愛らしいアリス服 
私こんな願望があったの? 

「えと…アリスならここで兎の登場でしたね」 

読んだ本の知識を引っ張り出す 

「…はい。そうですね」 

ちょっと沈黙。…えと…何を話せば良いんだろう…?あ、そうだ 

「璃王さんにはちょっとお世話になりまして…」 

「…そうですか」 

う…。やっぱり嫌だったかな? 
私なら…もやもやしそうだもんな… 

「…兎…居ますね」 

「え?」 

彼女が指差す茂みの先に兎の耳がピコピコ揺れてる 
……可愛い…!! 

「と、とりあえず捕まえてみます…!!」 

兎さんだ兎さんだ…!夢なら思いっ切り抱き着いて大丈夫だよね…!? 

そーとそーと… 

「うりゃっ!!」 

「わぁ!?」 

ん?何だか聞き覚えのある声だなぁ 
この兎人型みたい。でも兎さんに変わりはない…! 

「兎さんつーかまーえたーー!!」 

夢故の無遠慮で抱き着き耳にほお擦り。白い耳が温かくて気持ち良い 

「る、ルリアさん…!やめて下さい…!」 

あれ?この声は… 

「ステイリーさん…!?」 

心臓がはねて慌てて体を離した。 
す、ステイリーさんまで夢に出てきた!! 

「…そうです。貴女は…アリスですか…」 

そういうステイリーさんは白兎みたい。耳がピコピコ動く 
…可愛い…触りたい…。いや、今は我慢我慢 

「ラ、ラミィさんもです」 

ラミィさんを見たら彼女はぺこりとお辞儀をした 

「…どうも…」 

「…どうも。璃王にはお世話になってます」 

「…二人して言うこと同じですね」 

あ、そうかも 
私達はお互いにギクシャクしながらもラミィさんもいるのでとりあえず平静を装う 

「と、とにかく…。ここは多分その璃王が作った夢の空間です」 

「そうなのですか?」 

「多分…。何でこんな事してるのか分かりませんが…。とにかく目覚めないと」 

「…このまま朝になれば目が覚めるかと思いますが…」 

「それはそうでしょう。しかし夢は時間感覚が現実と同一でないですから下手したら延々とこのままの可能性もあります」 

「…そうですか」 

「…全く…何を考えてるんだか…」 

「じゃあ、探しに行きましょう。多分どこかに居ると思います」 

「…そうですねこのままでも仕方ないですし」 

………二人は優秀な感じだなぁ…… 
あれよあれよと話が纏まる 
…ちょっと羨ましい 

「では行きましょう。多分物語通りあの穴に入るのかと」 

庭にはぽっかりとした落とし穴 

「…夢とわかってても怖いですね…」 

「大丈夫。夢なんですし絶対怪我しませんから」 

「は、はい…!」 

「じゃあ、行きましょう…」 

ラミィさんは躊躇わず落ちた 
す、凄い…! 

「…お、落ちるのですよね…?」 

夢と分かってても私はちょっと怖い 

「…一緒に行きますから大丈夫です」 

ぎこちなさを残しながらも若干照れながら差し出された手 
それにくすぐったくて嬉しくなった 

「…はいっ…!」 

私は彼の手を取って思い切って穴に落ちたのだった 


落下する感覚は一瞬で 
柔らかい地面に跳ねて落ちた 
な、何か面白い…!! 

「大丈夫ですか?ルリアさん」 

「はいっ。結構面白いです…!」 

「…そうですか」 

周りを見渡すと可愛い家の中。落ちてきたはずの天井の穴も消えている 

「お二人共、こんなのがあります」 

ラミィさんからの声に繋いだままの手を思わず離した 

「は、はい…!?」 

彼女が指差す先テーブルの上には二つの瓶 
…えーと確かこれは… 
………夢の中のせいか記憶が上手く出てこない 

「あ、そうだ!確か小さくなる薬です」 

頭がふわふわする独特の浮遊感がここを夢と教えてくれる 

「あ、あそこに扉ありますね」 

それは小さなドア 

「じゃあ飲めば良いのですね…」 

やっぱりラミィさんは躊躇わず飲み込んだ 
……いくら夢とはいえ凄いなぁ…… 

彼女はドアを潜れる位の小人になった 

「なんだか可愛いです…!」 

小さい物は可愛い 
ラミィさんは綺麗な感じだから可愛い感じが新鮮で可愛い…! 

「…そうですか。お二人も飲んでみては?」 

先に進まないと終わらないならそうしよう 
でも正直ワクワクしていた。絵本みたいな冒険をしているのだから 

「瓶は二つ…あと一つですね」 

「半分ずつ飲めば良いんですって!では頂きます…!!」 

あれ?そういえばアリスの薬って確か二種類なかった? 
小さくなるのと……… 


私がそれを思いだしたのは巨大化して家を壊してからだった……… 


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ハートの女王と帽子屋のお茶会 

side ドロシー 



場面は変わり城… 


私、ドロシーは腑に落ちない気持ちで一杯だ 

こんなメルヘン世界な夢を見るだけでもらしくない。らしくないのに… 

「このハーブティー、美味しいですね」 

サラジュがシルクハットなんて被って帽子屋みたいな格好で隣でお茶をしてるなんて…どんな夢なのだろうか? 

ここは多分アリスの物語風だと思う 
自分がハートの女王なのは良い。 
それだけならまだ理解出来る願望だ 
なのにこんなメルヘンな夢の中で王子様とお城の薔薇が綺麗に咲く庭でお茶会………… 
ダメだ、自分が信じれなくなりそうだ 
落ち着くのよ、私、ドロシー=リコリシア=ノワン 

この状況に一つ、心当たりがあった。それなら納得が行く。というかそうであって欲しい 

「…そうね」 

出来るだけそっけなく答えると相手は戸惑う仕草をした 

「…えと…」 

「謝らないでよ?悪い事してないんだから」 

一口飲む 
サラジュにあげたハーブティーと同じ味がするのは私の願望が映し出された証なのだろうか?現に相手は気付いてない。厳選を重ねてあげたお茶はいい香りが広がる 

「…お茶を飲んだら移動するわよ」 

気付いたらお茶会状態だった 
夢の中なのにお茶が勿体ないというサラジュに付き合って一杯だけ飲んでるにすぎない 

「え…どちらに?」 

「分からないわ。でもこの夢元凶が間違いなくいるわ」 

思い出すのは黒い髪に赤い瞳の約二名 
提案しそうな女に実行役の男だ 

「元凶…夢と言えば璃王さんですよね」 

「そうね。ここは彼の作った世界で間違いないでしょう」 

頼むからそうであって下さい 
そう祈る気持ちだ 

だって、そうでなきゃ潜在願望になってしまう 

お城で 
私が女王様で…… 
隣にこの人………… 
つまりは………… 

「ないわ…!!!」 

机を思い切り叩いて自分に叱咤を入れる 
そんな甘ったるい願望を持った覚えは一欠けらたりともない!………筈………ないないないない…!!! 

「あ、あの?何がですか…?顔真っ赤ですよ?」 

…相手は憎らしい程いつも通り。多分変な発想に至っているのは自分だけだ 
…それも何だか癪に触る…… 

「…つまみのおやつもない世界なのね」 

ごまかしにすらならない発言なのは百も承知だ 

「そ、そうですね…」 

自分の怒りのオーラを感じたのか突っ込まない懸命な判断をしたらしい 

「…そうしたら今度はおやつでも一緒に作りましょうか?」 

月一の料理教室 
最近ちょっとぎくしゃくしたばかりのあの時を思い出す 
辞めると言い出した男はちゃんと、次を考えてくれてるらしい 

そんな些細な事が……嬉しいなんて… 

「甘ったるい…」 

角砂糖を一つ口に入れる 
今の自分の思考回路はそれ以上に…甘い…… 

「砂糖ですからね」 

何故かサラジュも私に倣って角砂糖を食べた 

「行儀悪いわよ」 

自分は棚においておく 

「すみません。…その…何となくです 
貴女と同じ行動がしたくて」 

……甘い甘い甘い甘い…甘ったるい……… 

紅茶を一気に飲み干し勢いで立つ 

「行くわよ…!!」 

「え…!?は、はい!!」 

慌てて向こうも飲み干し立ち上がる 

「絶対あの女が絡んでいるわ…!今度こそ…ヤる」 

「ど、ドロシー…目が怖いです…」 

「いいから黙ってついて来る!」 

「はい…!!」 

あぁもう 
私はなんて可愛いげが足りないのだろう? 

一緒に来て 

って何で可愛く言えないのか 

「…………だから…本当なんなのよ…!!」 

夢だからだ 
だからきっと、無意識が浮かびやすい 

なんて、自分は甘ったるいのか 
味が残る砂糖より、自分の思考に気持ち悪くなりそうだった 


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夢の主 

side 璃王 


僕は魔法の安定を確認して夢に潜った。自分の恰好はチェシャ猫に設定した 
他の皆はここに居る間は夢の感覚だけど術者の自分には現実となんら変わらない 

「お疲れ様」 

そこにいたのは今回の共犯者、エリザ。彼女は芋虫の役割だ 
彼女は実に楽しそうにボクに手を振る 

「いいや。守備はどう?」 

「私の方にはまだ何も。様子を見る限りどっちも動いてるみたいね」 

鏡に姿を映す彼女 
別に魔法じゃない。よく使うからイメージしやすいんだろう 
ここは夢なんだからイメージ通りに何でも出来る。それだけだ 

「それにしても…」 

からかうようなにやけ顔 
それも仕方ないのかもしれない 

「ラミィちゃんまで呼んだのね」 

「…別に何となく」 

それは嘘だ 
でも今回の舞台を用意したのはボクなんだし少しくらい大目に見て貰いたい 

「別に良いけどね 
さぁて、ギクシャク気味のカップル達はちゃんと話せるのかしらね」 

そう言ってる間に巨大化したルリアがキョロキョロしながら歩いてくる 
なかなか圧巻だ 

「出番みたいね。行ってくるわ」 

…やれやれと内心ため息 
でもこれが彼らの切欠になればいい。学友達の顔を思い浮かべる 

「じゃあボクも遊んで来ようかな」 

折角大掛かりな事をしてるんだ 
楽しまなくては勿体ない 


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芋虫とお友達 

side エリザ 


巨大化したルリアちゃんは手の上にステイリー君を乗せて移動している。 
見えないけど多分その上にラミィちゃんもいる筈 

「ルリアちゃーん」 

大きな声で呼ぶと彼女は私の存在に驚いた顔をして、慎重に寄ってくる 

「おっきくなっちゃったわね」 

「エリザさーん!戻りたいです~!」 

彼女はゆっくり座って手を地面に置いた 
ラミィちゃんはステイリー君の手の中にいた。あら、可愛い 

「大丈夫、私が芋虫だからね。はい、キノコ。ラミィちゃんはこっち側食べて」 

ラミィちゃんは手の上で受け取り、キノコを食べた。光に包まれ元に戻る 

「…戻りました」 

「よかったですね」 

「有難うございました…」 

彼女は私とステイリー君に頭を下げる 

「いえ、私は別に」 

「そ。良いのよ」 

「貴女が言いますか。大方考えるにエリザさんも元凶でしょう?」 

「あら、どうかしらね」 

まぁばれないとは思っていないけど 
流石頭良い人はすぐ思い当たるみたいね 
その指摘は一回置いてしてルリアちゃんに向き合った 

「ルリアちゃんはこっちね」 

ラミィちゃんと逆側を差し出す。巨人状態の彼女には食べにくそうだけど仕方ない 
彼女は戸惑いながら何とか小さく口に入れた 

「…わわっ!!」 

急に元に戻って高い場所から地面に一直線に落ちる 

「ルリアさん!!」 

「ひゃあ!?」 

しかしまた地面がトランポリンになって助かる 
成程、例え夢でも絶対怪我はしない仕様な訳ね。 

「大丈夫ですか?」 

「…面白かったです…!」 

「…まぁ夢だからいいですけど…」 

力説する彼女にちょっと呆れたように彼はため息をついた 
あからさまにぎくしゃくしていた二人は早々に前の雰囲気を取り戻し始めていて嬉しくなる 
それにしてもステイリー君の今の慌てっぷり。なかなか可愛い反応だったわね。やっぱり大事にしているんじゃない 


ラミィちゃんがルリアちゃんに向き合う 

「…すみません。ステイリーさんの手をお借りして…」 

と言うと彼女はいつも通り慌てる仕草を見せた 

「い、いえいえ…!!大丈夫ですから!!」 

「…そうですか」 

そういえばこの二人も不器用同士ね。ちょっと一石投げてみましょ 

「あら、二人にも仲良しフラグかしら?」 

「え…!?えと…その…!?」 

「…どうなのでしょうか。私はそういうのに疎いので…」 

相変わらずちょっと淡々とした雰囲気のラミィちゃん。いつもの現実のルリアちゃんならそのまま済みませんと言いそうだけど… 

「…なれたらなりたい…です…仲良しに!」 

夢というのは本音がちゃんと出しやすいみたいね 
何だかこっちまで嬉しくなるわ 

「…よろしくお願いいたします」 

「有難うございます…!!!」 

これで現実の二人にも影響は出るはずだ 
それにしても 

「ルリアちゃんって案外元気な子だったのね」 

「う…」 

「良いじゃないの。ね、ステイリー君」 

「何で私に振るんですか!…まぁ…もっとそれを出せれば良いとは思いますけど……」 

ご馳走様でした、と 

「…精進します」 

二人はほのぼのした雰囲気を見せる 
目的はちゃんと果たせそうで一安心した 


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夢と本音 

side サラジュ 


私は彼女の先陣に従い先に歩く 

「…森に入りましたね」 

そこは少し薄暗い森 

「…急に森が現れた感じだわ。場面に干渉出来るのならそれは夢主よ 
出てきなさい、璃王。わかっているのよ?」 

木の上から指摘された人物が現れる 

「やぁ。見抜かれちゃったか。流石だね」 

まるで縞猫みたいな服を身につけた璃王さんがあらわれた 

「何がしたいの?夢から解放しなさい」 

「おや?別に酷い夢は見せてないつもりだけどな?どうしてそんなに怒ってるの?」 

実に楽しそうに私達を見下ろす彼 

「…苛立たないと思った訳?…良いわよ。そっちがその気なら私だって…」 

ドロシーは魔法を使ったのか城にいたトランプの兵隊がずらっと並ぶ 

「私、この設定なら女王様だものね」 

「…ドロシー嬢、本当に何でそんな怒ったの……?」 

璃王さんは若干ひきつった笑いを浮かべる。理由は私にも分からないけど彼女の怒りは最高潮らしい 

「…問答無用……!処刑よ!やっちゃいなさい!」 

「危なっ。じゃあまたね、二人共」 

危険と判断したのか璃王さんは消えた 
ここは彼の夢。自由自在なのだろう 

「…腹立つわね…!」 

「…えと…本当に何でそんなに怒っているのでしょうか…?」 

彼女は一回固まって真っ赤になって俯く 

「だって……こんな…」 

「…貴女にとってこれが悪夢なら貘を召喚しますよ?」 

夢には夢喰い 
今既に彼の夢の中な以上効かない可能性も高かったけど何もしないよりは可能性がある 

「……サラジュこそ…これ悪夢じゃないの……?」 

珍しく不安げに見上げられる 
前の時といい私は彼女に不快感ばかり与えてしまってる気がした 

「いいえ。…ドロシーがいるのですから、悪夢な訳ありません」 

さらりと、なんの気なしに 
当然のように口から零れた 

「………ばかっ……。私だって…」 

彼女が耳まで赤いのが分かる。それが酷くくすぐったい気持ちを芽生えさせる 

「…無理…!!甘すぎるわ…!!!夢の無意識は危険すぎるのよ…!!行くわよ!」 

「は、はい…!」 

「…どーせあれでしょ?特別な学友だからでしょ?いつも通り」 

「…そうですが…」 

やっぱり心から言葉が素直に零れる 

「私にとって貴女は特別ですから…」 

………流石に自分も恥ずかしくなった……… 
彼女の気持ちが分かった 
無意識は危険すぎる 

「…早く目覚めましょう…!」 

「……そうね!!」 

それでも、お互い感じていたわだかまりは、前より和らいだ気がした 


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彼の望み 

side ラミィ 

「それでエリザさんは何でこんな事を?」 

ルリアさんはエリザさんといつの間にか仲が良くなったらしい 
いつもルリアさんは物おじしているように見えたけどここでは印象が違う 

「あ~…それは黙秘権でじゃダメかしら…?」 

「ダメです。危険はないとはいえこんな複数人数夢に捕らえるのは璃王にも負担でしょうし 
出来れば早く目覚めたいです」 

…ステイリーさんも璃王さんをよく思いやっている 
…確かに心配です 
なんて考えていたらエリザさんが私にこっちに来るよう手招きした 

「…何です?」 

「これね…実はね…」 

彼女は語った。囲った二組は最近ちょっと仲がぎくしゃくしている事、夢の中なら本音で語りあえると思った事 

「だから…協力してくれないかしら…? 
友達達が行き違うのは…やっぱり、ね」 

…成る程 
彼女なりに友人を思いやっての行動ですか… 
…なら何で私はここに居るのでしょうか? 
……一つ思い当たったけど今は置いておく事にした 

「…ここでは魔法使えるのですか?」 

「え?あぁ使えるというか自由自在よ。なにせ夢だし。使い慣れた魔法ならやりやすいかもね。それが?」 

なら調度いい 
私は二人に向き合った 

「…二人共真に申し訳ありません…。私は彼女の味方になります 
失礼します…。ルリアさん。出来れば現実でまたお話でも…」 

「えぇ…!?は、はい…?現実で…!?」 

「ちょっと、待って下さいよ!」 

戸惑う二人を無視して魔法を使うイメージをする 
そして移動した 


目の前の場面が変わった。どうやら成功したみたいです 

「…お城に飛んだのね。流石だわ…!有難う、ラミィちゃん」 

「いえ…。それより璃王さんは?」 

「…さっき別れたばっかだけど…夢主はどこにでも行けるし…」 

「…ならここにいます。あの人からきっと来てくれるから」 

お茶会の後が残るテーブルの席に座った 

「…そうね。じゃあ私はもう一組を見てくるわ。 
それにしても、なかなかラミィちゃんって度胸あるのね。鏡で見てたけど随分行動的だったじゃない」 

「…あの人の夢だと教わったので」 

彼は人を傷つけるような真似はしない。だから穴も、薬も怖くなかった 

「…そっか。じゃあまたね」 



一人取り残されゆっくり待つ 
さっきの考えが合ってるならきっと彼は来てくれる 
彼の望み、それは多分だけど 

「…私に会いたかった…とか…」 

口に小さくだすと顔が熱くなった 
もしそうなら私も、早く会いたい

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「親友」と「友人」 

side 璃王 


ラミィに声をかけるのを少しだけ後回しにして、ボクは今僕の手を焼かせてくれた友人の二人を眺める 

場面を湖の側という状況にまでしてやったんだ 
何かしらあって然るべきだろう 
しかし…彼等がやってる事は……… 

「耳…気持ち良いです……」 

「…あの…そろそろ…」 

「もう少し、もう少しだけ…!」 

…彼女がまさか動物耳フェチとは知らなかった 
真っ赤な顔でお願いがあると言った次には兎耳を触りたいとは…… 
自分に兎耳があった時会わなくて良かった 

「ルリアさん、いい加減…その…近くて恥ずかしいです」 

夢の中効果か恥ずかしいという理由をきちんと口にしたステイリー 
ルリアはそれに反応したのか真っ赤になって飛びのいた 

「…すみません…!つい…!!」 

二人して沈黙 

「…えと…これからどうしましょうか…?」 

「そうですね…。璃王を止めれるならラミィさんしかいないでしょうし…」 

「ステイリーさんもいけると思います!二人は親友なのですから…!」 

邪気や嫌味がない分ダメージがきつい 
案の定ステイリーもずっこけてる 

「親友………」 

「そうですよ…!私ちょっと羨ましいんですからね?……ステイリーさんに真っ先に相談して貰えて…」 

あの時の話ならそれこそ流れもあったのに 

「…まぁ…確かに…そういう事を言える相手で…親友と呼べるのでしょうけど…」 

…ヤバい。素直になってしまう空間は思った以上にまずい 
…こっちまで気恥ずかしい…… 

「ですよね!」 

「………でも、貴女にだって…言いたいから…言った訳ですし…」 

「………そうですか…」 

ようやくボク達の本来の目的方面に二人の雰囲気が移る 

「…少し、お話しません…?」 

「…はい」 

これ以上は流石に野暮だろう。後は二人の問題だ 
ボクは移動する事にした 

ラミィの居る場所に 


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悪友 

side エリザ 


私はもう一組を探し、ようやく見つけ出した 
二人はお世話にも和やかとは言えない雰囲気で歩いている 

「あのトランプ兵使えないわね…!」 

「私の貘もやはり効かない模様です」 

「あーもう…!早く目覚めたいのに!!」 

「全くですね」 

もしかして気持ちを確認するどころか喧嘩になったの? 
まずい…仲介しなきゃ…! 

「ねぇ?二人共…?」 

ドロシーは私を見るなり睨んで来た 

「兵隊達、集合よ!!あの女を処刑しなさい!!」 

え 

「ま、待った待った!!!何でいきなりそうなるのよ!?」 

慌てて影を生み出しガードを固める 

「うるさいうるさい…!!!エリザでしょ?私達を夢に入れたのは!!分かってるのよ!?」 

ドロシーは聞く耳持たずで攻撃を仕掛けてくる 
私も仕方ないから影で応戦する 
本来攻撃向きじゃないけど今は夢。対抗する力を持つみたくイメージする 

「た、確かに璃王君に頼んだけど何をそんなに怒っているのよ!?」 

流石にサラジュ君は手出ししてこない 

「うるさい!馬鹿!!あんただって色々あるくせにどうして私達ばっかり構うのよ!!馬鹿!!」 

夢故の素直さがドロシーから滲んでくるやたら恥ずかしくなってくるわね、これ 

「だって心配になるでしょ!?」 

そして自分も例に洩れない 
思わず思った事を言ってしまう 

「馬鹿馬鹿馬鹿!!エリザはもっと自分を心配してなさい!!」 

「だったら心配かけるんじゃないわよ!!」 

絶賛影と兵隊は戦い中な中で言い合いは続く 

「心配は嬉しいけどこんな事までしなくて良いのよ馬鹿!!!」 

「あ、あの…二人共…落ちついて下さい…」 


-喧嘩するほど仲が良い二人は戸惑う王子を蚊帳の外においやり魔法バトルを繰り広げるのであった……- 



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白兎とアリスの恋 

side ステイリー 


ぎくしゃくしていた雰囲気は状況に流されいつの間にか彼女は前みたく話してくれていた 
それが嬉しくて無性に気恥ずかしい 

「…綺麗な景色ですね」 

改めて何を話して良いか分からず口ごもる 
告白し合ったこと、キスをされたこと、ギクシャクしている事。どれも話題に出すには勇気が要る 

「そうですね…」 

ルリアさんは僕を横目で見たりして落ち着かない雰囲気 
次に口を開いたのは彼女だ 

「………私…ステイリーさんが好きです……」 

改めての言葉に顔が熱くなる 

「……僕もです」 

さらりと言葉が出てしまう 
お互い気恥ずかしい 

「……好きで…いたいです……。多分貴方がダメって言っても……これだけは無理です…! 
私のせいでギクシャクしているのは分かってます…!でも…それでも…!恋人でなくていい…。傍で…好きで居たいんです…」 

彼女は前より芯が強くなってきたように感じる 
自分が彼女にそういういい影響が与えれたのなら嬉しい 

「……気持ちはちゃんと嬉しいです。ダメなんて言いませんよ」 

応えれないとはいえちゃんと好きな女の子なんだ 
好いてくれてるのなら嬉しいに決まってる 

「…よかった………」 

余程緊張していたのか心底安堵した顔を見せる 
本音を言えば、遠慮がちな彼女は諦めてしまうんじゃないかと思っていた。もっと言うなら言わない方が良かったんじゃないかと思ってもいた 
通じ合う気持ちがじんわり温かくなってくる 

ここは夢だから 
今だけは、少しだけでも 

「ダメなんて、言える訳ないじゃないですか」 

手を重ね、気持ちを伝える 
伝わる熱が心地いい 
やっぱり僕も、彼女が好きだ。自分の勝手で応えれないとしても、もう気持ちに蓋は出来ない 

「…うん……」 

彼女はそんな僕に体ごと寄り添ってくる 

「好きです……」 

やたら、甘い雰囲気 
彼女の熱、やわらかい体 
自制心が今はいつもより効かない 

「知ってます。あと、この状況でそんな事するとどうなるかそろそろ身に受けますか?」 

本気でやる気はない。けど脅しをこめて彼女の顔を両手で包み自分に向ける 

「………」 

流石に硬直して言葉を失う彼女 
これで少しは懲りてくれればいいのだが 

「………ステイリーさん…」 

彼女は涙を流す 
まずい!脅し過ぎた!! 
慌てて手を離す 

「すみませんっ…!」 

最低な男の烙印だけは押されたくない 

「違……!これは…その……感情が……高ぶって……」 

彼女は一気に大人びた雰囲気を出す 
急に今まで見たことのない女性に見えて心臓が苦しい 

「……嫌じゃない……です……私……」 

え?あれ?これはどういう雰囲気なんだ? 

「大好き…です…」 

頭がくらくらする 
他に何も考えれなくなる 

「ルリアさん…」 

無意識に彼女を引き寄せて抱きしめる 
触れたくて仕方がない 

「ステイリーさん…応えてくれなくていい…。けど…好きでいて欲しいんです…」 

僕だって好きでいたいに決まってる。我がままな願いを肯定されて身勝手ながらに嬉しくなる 
しっかり抱きしめてお互い体温を分け合い、心臓の音を伝え合う 
とても心地いい 

「はい…。僕が好きになるのは、貴方だけです」 

暫くして少し腕を緩めて見つめ合うそっと、彼女の目が閉じた 
そのままお互いの顔が無意識に近付きかけたその時 

「待ちなさい!!逃げるんじゃないわよ!!」 

「無茶言うんじゃないわよ!」 

「あ、あの…本当二人共落ち着いて下さ……」 

「「黙ってて!!」」 


「……………」 

騒がしさの塊が聞こえる距離で駆け抜けた 
………えーと…彼女達も居たのか…… 

「あ、ステイリーさん…!すみませんが止めるの手伝って下さい………って……失礼しました……」 

…しまった!あまりの衝撃に体勢そのままだった!! 
というか危なかった!! 

「い、いえ…!行きます!」 

「あ…えと…」 

「ルリアさんはここに居て下さい」 

「は、はい…!」 

逃げ出す口実に安堵すら覚える 

でも気持ちは夢見る前よりはずっと楽になってた 
…僕は我が儘でも、好きでいたいと、いていいと言う彼女の言葉が嬉しかったんだ 


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夢の終わり 

side 璃王 

-先ほどのやりとりの少し前- 



ボクはラミィの前に立った 
彼女驚かず、僕を迎えてくれた 

「―お待ちしてました」 

待たせてしまったのは事実だから素直に謝る事にする 

「ゴメン、待たせて」 

「いえ。来ると分かってましたから」 

夢の中でも彼女は今までと変わりあるようには感じない 

「…疲れてませんか?」 

彼女は椅子をたって隣の椅子を引いてボクを誘う 

「大丈夫だよ。有難う」 

有り難く座る事にした 
彼女も再度座る 

「…楽しい夢ですね」 

「気に入ってくれた?」 

普通に会話してるつもりでも若干緊張している 
いくら変わらなく見えてもここは夢の中 
彼女の無意識の本音が聞けてしまう可能性はいくらでもある 

「えぇ。楽しいです」 

思う以上に安堵した自分を少し滑稽に感じる 
これじゃあステイリーの事言えなくなるじゃないか 

「…あの…失礼かもしれませんが良いですか…?」 

ラミィにしては緊張気味に切り出す 
出来るだけ柔らかく頷き返す 

「…私に会いたかったのですか…?」 

………危うくずっこけるところを何とか堪えた 

「…それは……」 

ボクは皆と違って夢の中の意識じゃない。だから少し言いにくい 

「…考えたんです。あの二組が用事なら私は必要ないと…。なら璃王さんが私に…と思いまして……。違いましたか?」 

「…違わないよ」 

この世界を作ると決めた時真っ先に思い浮かんだ 
ラミィにも見せたいと思ったんだ 
綺麗な夢の中、彼女に会いたいと願った。それが彼女を引き込んだ理由だ 

「…嬉しいです」 

彼女の頬が染まる 
それが愛しくて嬉しい 

「ラミィ…僕は…」 

やられっぱなしで終わる気はないから自分からも手を伸ばす 

でもその瞬間急に眩暈がした 

「……え?」 

「璃王さん…?」 

急に魔力が大きく消耗してる 
どうして?と夢を探ると悪友コンビが何故か戦ってて男二人が止めようと必死になってるのが見えた 
………一体何をしてるんだ…エリザは…? 

「…もう夢を終わらせましょう?」 

勿論そうしたい。けどまだボクは彼女とろくに話が出来てない 

「…いや…もう少し…」 

「…明日、ゆっくり話しましょう?」 

それは有り難い約束。でも 

「目が覚めたら忘れてるよ?」 

それが夢だ 
勿論意図的に記憶を残す事も出来る 
けどこんな状況でそこまでやれそうにない 

「忘れません。そうしない為に強い印象があれば良いんです」 

彼女は僕の頬に手を添えた 

「…ゴメンなさい」 

目を隠された 
次の瞬間柔らかい感触が唇に 

「…………忘れませんから……」 

真っ赤になる彼女を最後に、動揺し過ぎて夢の世界は強制終了をした 






「……………また彼女からやられた……」 

前の時は完璧寝てたけど今回は自分はしっかり覚えてる 

…してやられた……… 


他の二組はもう知らない 
記憶に残らなくても気持ちが動いたなら彼等の中に必ず残る 
もうこれ以上何かする気にはなれなかった 

「…寝れない……」 

疲れ果てているのに 
寝るのが何より好きな自分が寝付けない 

結局翌日夕方まで僕は動けなかった 

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二人の関係 

side ルリア 

変な夢を見た気がした 
ステイリーさんが兎になって兎耳を沢山触るような夢 
やたら気持ちがすっきりしていて幸せな気分が満ちている 

なんでだろうと考えながら廊下を歩いていたらラミィさんが正面から歩いてきた 
彼女とはただの顔見知り程度。璃王さんの(多分)恋人だから私は存在を認識してる。けど向こうには多分印象はない筈。普通にお辞儀してすれ違えばいいだけ。それなのに 

「…こ、こんにちは…」 

思わず挨拶していた 

「…こんにちは」 

二人して足を止める。用事なんてないのに 

「…え、えと…その…」 

「…今度また、ラウンジ辺りででも」 

「は…はい…!」 

ぎこちないけど、お互いなぜか当然のように会話した。…不思議な感じだ 

更に廊下を進むと紫のくせっ毛の人が目に入った 
ステイリーさんだ…!…緊張する。でも何故か自然に言葉が出てきた 

「…こんにちは…!」 

挨拶したら目をそらされ、彼は何故か真っ赤になって壁に頭を打ち付けた 

「え!?な、何しているのですか…!?」 

「い、いえ…何でもないです…」 

いつにもまして真っ赤な顔 
ど、どうしたんだろう…? 

「ちょっと見せてください」 

打ち付けた額を前髪をかき上げて見てみる。ちょっと赤くなってるけど切れてはいない 

「ちょ…!だから貴方はどうしてそう…!」 

彼は真っ赤になって一歩下がった 

「ステイリーさんが怪我するような真似するからです!一体どうしたんですか?」 

「あ、いえ…何でも…」 

真っ赤になって目を逸らす仕草が愛しくて、くすぐったい 

「…何をしてるんですか、全くもう」 

「…変な夢を見ただけです」 

妙な偶然もあるものだ 

「私もです」 

何でか頭にキスをされるようなシーンが一瞬浮かんで消えた 
な、何だろう?今のは一体?何だか無性に恥ずかしい… 

「え、えと改めましてこんにちは……」 

何故か改めて挨拶された 
そんな仕草が何だかおかしくなって笑ってしまう 

お守りの鏡を一回触り顔をあげた。何故か気持ちが凄く軽い 
『大丈夫だよ』って、友達が背を押してくれた気がする 
好きでいて、このままでいいんだ。気負う必要はない 

「あの…!ステイリーさん、今度私薬学の授業の課題で採取にちょっと遠出するんです」 

学内は安全だけど広い 
言い訳には十分かな?と思いしっかり顔を上げる 

「よかったら…一緒に行ってくれませんか?一人じゃ寂しいので…!」 

彼は顔を更に赤らめた。断られるかな?と不安に一瞬なる。けど 

「…はい。分かりました。お付き合いします」 

嬉しさが一気にこみあげてきた 

「…はいっ!!」 

そうだ、お弁当を作ろう。アゲハ先生にコツとか聞いてみようかな? 
それに折角なんだしステイリーさんに何か出来ないかな?喜ぶような何か 
浮き立つ気持ちは幸せを胸に満たす 

「では今度。今日はどうします?」 

「僕は少しラウンジに寄ろうかと…。ルリアさんは?」 

「あ…ではご一緒して良いですか?」 

「はい」 

ぎこちなさはいつの間にか晴れていた 
何故か、彼の唇に目が行ってしまうのにはちょっと困ったけど、それでも、以前みたく明るく話が出来ようになったのだった 


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少しは、素直に 

side ドロシー 


私は迷っていた 
いつもなら月一でしかやってない料理 
それを何故か今日は無性にやりたくなった 

サラジュにあげたお茶を一緒に飲みたいなどと何故か考える 

ふと前を見たら悪友の姿 
何故か無性に腹が立つ 

「…偶然ね」 

「そうね…」 

向こうもそう感じたのか渋い顔をする 

「…有難う…」 

意味が分からないけど言いたくなった 

「私も、有難う」 

お互い意味が分からないまま礼を言う 

「何かあったらちゃんと言いなさいよ?」 

「分かってる。頼りにしてるわ」 

やたら互いに素直になってしまう 
これは一体何なのか 

「あ…居ました。ドロシー」 

「お迎え?なら失礼するわ」 

「あ…申し訳ありません。お話中に」 

「良いのよ。じゃあね」 

彼女は立ち去った 

「…何?」 

「えと…急で悪いですが………。良ければお茶でも一緒にと…」 

手には私があげた茶葉 

「一緒に味わいたくて…」 

何故か気持ちが一気に軽くなった 
そうだ。気楽に言えば良いのだ 

「良いわよ。その代わりお茶菓子は手作りの気分だから…付き合って」 

少しは可愛いげある言い回しが出来ただろうか? 

「はい。是非」 

心なしかいつもより柔らかい表情 
まぁ、今はこれで良いか 
前に感じたもどかしさは、いつの間にか忘れていた 


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現実でもう一度 

side ラミィ 

何故か行かなきゃならない 
そんな気持ちで夢見の塔に来てしまった 

「…璃王さん。いますか?」 

彼のよく使う部屋をノックする 

「いるよ。どうぞ」 

「失礼します…」 

何だか相変わらず寝不足そうです 
また魔法を使っていたのでしょうか 

「…どうかした?」 

何故かやや緊張を感じる声色に首を傾げる 

「何となく。来なくちゃいけない気がしたので」 

「………そう」 

少しの安堵と落胆を感じた 

「…申し訳ありません…」 

謝るべきな気がした 

「いや。大丈夫…うん」 

「…ステイリーさんとルリアさんはラウンジに向かっていて普通に話してました。サラジュ王子とドロシーさんは二人でお茶をする模様です。エリザさんはいつも通りでした」 

これもまた、気になって調べてしまい、何故か言わなきゃいけない気がした 

「…そっか」 

彼の空気が柔らかくなった気がした 

「…すみません。何かを忘れてしまった気がして…」 

起きた時は覚えていたのにすぐに消えてしまった記憶 

「大丈夫。…今回はボクが覚えておく番だから」 

「……?」 

「次は必ず、二人が忘れないようするから」 

「…すみません。意味が…」 

「良いよ。理解出来ないで」 

意味が分からない 
それなのに心臓はうるさくなる 

「次は絶対に、必ず、ボクからの番だからね?ラミィ」 

分からないのに、理解出来ないのに 
何故か通じた気がした 

「……はい」 

頭の中に、何故かメルヘンな世界が浮かんだ 
もしかしたら本当に迷いこんでいたのかもしれない 

「今日はお話を出来るならしましょう」 

「うん。了解」 

璃王さんが飲み物をいれて下さった 

暖かい飲み物を口にしながら考える 
次があったら 
その時は必ず忘れません、と 



fin 


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さて、楽しい夢はこれにてお仕舞い 
これから彼ら…いや、ボクらがどうなるかは自分達次第 
夢はただの切欠に過ぎないんだから 
ここから先は別のお話 

それでは皆様御機嫌よう 
今宵皆様にも楽しい夢が訪れますように 

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