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エリザがのんびり過ごしていると、ルリアちゃんが声をかけてきた 

「エリザさんっ…!こんにちは」 

前みたいなおどおどした困った態度が一変して元気に寄ってきてくれる 
知り合ってからまだ数日だけど、もうすっかりお友達認識してくれてるようだ。 

「こんにちは、ルリアちゃん。今日はやけにご機嫌ね。何かいいことでもあったのかしら?」 

「えっ?そうですか?うーん。そう言われると最近何かすごくいい夢を見た気がするんですが…」 

「そう、いい夢ね…くすくす」 

失恋したばかりでもっと落ち込んでると思ったけど… 
記憶は残って無いようだけど、夢の効果はちゃんと発揮されてるみたいね。 
今度、璃王君に会ったら何かお礼しなきゃ 

「…?おかしなエリザさんですね」 

彼女のキョトンとした表情がまた愛らしい。 

「あ。お昼、まだでしたら一緒にどうですか?私奢ります」 

「えぇ、喜んで。でも食事代くらいは自分で出すから大丈夫よ?」 

彼女は首を振った 

「お守りのお礼ですから」 

「…そっか。じゃあ今日はお言葉に甘えさせてもらうわね」 

「…はいっ…!」 

こんな素直で可愛い子を振るなんて、 
ステイリー君も大概罪な男よね、と内心思う 


人がいない場所で話したいと言うからお弁当を買って、 
ちょっと人気のない泉の側のベンチに腰掛けるなり彼女は頭を下げた 

「ではエリザさん、改めてまして色々有難うございました…!」 

「いえ、良いのよお礼なんて。元はといえばほら、そもそも私が…」 

「…いいえ。言いたいんです 
勇気づけてくれた事、友達になってくれた事 
どれも凄く、凄く私には奇跡みたいに嬉しい事なんです」 

………なんて健気な……! 
お礼どころか嫌われてもおかしくなかったのに…(ほろり) 

「あ…急にうつむいてどうしたんですか?もしかして具合悪いんですか?」 

「いえ、ちょっと…目の前の太陽がちょっと眩しかっただけよ。さ、気を取り直して食べましょ?」 

「はいっ!」 

お互い頂きますをしてお弁当を広げる 
友達と食べるそれはいつもより美味しい気がした 

「…あの、エリザさん。食べながらでいいんで聞いてもらえますか?」 

「・・・うん、何かしら?」 

「あの…内緒なんですが…私、ステイリーさんに告白されたんです」 

「…!?」 

うっかり食べ物が詰まりそうになった 
知らない間に二人はそんな事になってたらしい 

「…でも付き合わないって決めたんです。理由は言えません、ゴメンなさい」 

お互いに好意があるのに何故?と問いかけそうになったが、 
きっと何か理由を話せない事情があるのだろう。ぐっと堪える 

「…友達として、好きなまま傍に居ようと思うのです 
私が今度は力になれるように…って」 

彼女は以前と明らかに変わった 
少し強くなったみたいで雰囲気が変わった気がする 

彼女は髪飾りから光る星を手にして胸に抱きしめる 
多分だけどあれ、ステイリー君の魔法よね。派手なマーキングな事で 
自分の物だって無意識に主張する割には決定的に動けない… 

ルリアちゃんも彼も、二人してつくづく不器用なのね… 

「…そっか、貴方がそう決めたのなら。私はたいしたことできないけど、貴方の気持ちを尊重するわ。」 

いつもの性分で占い師らしく言葉を紡いだ 
でも、結果別々の道を歩むことになったとしても… 
どうか二人が幸せになれますように。 


「…あ…あの…言っちゃった事はステイリーさんにも内緒でお願いします…!本当に……」 

ルリアちゃんは照れ臭そうに真っ赤になって笑った 

「分かったわ。私とルリアちゃんだけの秘密ね。」 

腑に落ちない気持ちもあったけどここから先は当人同士の問題だ。 
からかいはしても踏み込むべきじゃないのは理解してる 

「…はいっ…!エリザさんは…その…大事な…特別なお友達……ですから… 
報告だけしたかったのです」 

いつの間にか彼女の中での自分が大きくなってて驚いた 
嬉しいけど、なんだか少しくすぐったい 


後はあの後中庭やラウンジで起こった事を話し昼休みは終わった 

「では行きましょうか」 

「そうね」 

二人がこれからどうなるのかわからない 
けど、もし彼女達が望むなら… 
できるか限りの手助けはしていきたいと思う。 

璃王君へのお礼は何がいいかな?、と考えながら私は次の授業に向かったのだった 

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