top of page

※アテンション
この話の前にサークル内トピックラウンジにてまぁ色々会話した後です。ざっくり解説で申しわけないm(__)m

*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---* 


『お揃いの気持ち』 


【ルリア】 
私はステイリーさんを連れ出してラウンジ入り口から移動して裏に回った 
ここなら人目につかないと思う 

さっき彼が言った言葉を頭に反芻した。あれはルスさんの事を思い出したに違いない 
「あ、あの…さっきは話中だったのに本当に申し訳ないです…! 
その…あのですね!そんなじゃないんです!そういう意味じゃなかったのです!!ただ、ステイリーさんが怪我するような事に巻き込まれて欲しくなかったのです…! 
私が今まで見てきたステイリーさんの魔法は…誰も、傷つけてなんかいません…。それどころか私を救ってくれた優しいものなんです…!」 
もうこりごりだと苦笑いした痛そうな顔。それが胸に突き刺さる。そんなに痛そうにしないで欲しい。だから言葉を続ける 

「もう…過去にしてしまった事は…どうにも出来ないです。けど…それでも…そういう痛みとか…後悔とか…自分を責める感情とか…全部、全部があったから…私は【今の】貴方に会えたんです…!」 
これはきっと私の押し付け。傲慢な考え 
それでも、過去をただ痛みとして責めるだけじゃなくて、それもまた、【今】私が好きな貴方に繋がっている。それが私には愛しい 
私もまた、後悔して、人を怖がっていた。だからこそ、優しい貴方を知ることが出来た 
変えれない互いの失敗は互いを知る為になった。…なんて気休めにしかならないのは分かってる。それでも気休めに位なって欲しい 


【ステイリー】 
ラウンジから連れ出されなんの話かと思えば途中で終わっていた話しの続きをルリアはし始めた。 
昔のことを思い出していたのを気にしているのだろうか。 

嫌ってきた過去の自分も含めて必要だったのだと彼女は言う。 
”今の貴方に会えた”という言葉に僅かに頬が緩んだ。 

「……貴女の言葉はいつも胸に沁みますね。それが貴女が持つ、 
誰かを救える優しい魔法なのだと僕は思います」 

一所懸命誰かの心に寄り添って、その人にとって必要な言葉をかけられる。 
自分もどれだけそれに救われてきたのか、貴女はきっと知らないだろう。 


【ルリア】 
「私は…そんなじゃないです…。自分勝手です… 
本当に優しいのはステイリーさんです…」 
だってそうじゃなければ、さっきあんな顔させずに済んだ 
救われているのはいつだって自分。優しさに甘えている 
私は貴方を困らせるしか出来ない存在なのに優しい魔法なんて…勿体なさすぎる言葉だ 

「…さっきだって…私のうっかりした発言で…あんな事言わせてしまったのですし…。ゴメンなさい…怒ってましたよね…?」 


【ステイリー】 
ルリアさんの自分勝手は時に誰かの優しさとなるというのにこの娘はわかっていない。 
彼女らしいといえば彼女らしいけれど。 

「怒って…?いえ、別に怒ってなど…」 
会話内容に怒っていた記憶は欠片もなく、ルリアの台詞に少し面食らう。 
怒っていたとすれば――― 
思い当たることがあり、手で口元を覆って思わず顔を反らした。 

「顔にでも出てましたかね…?その、別のことになので気にしないでください」 

「そ、それよりも何度目かになりますが、顔を近づけ過ぎるのはやはり良くないかと思います。 
いくら自国の王子といえど…」 


【ルリア】 
…別の? 
それも気になったけど疑問を挟む余地もなく何度目かになる忠告を受けた 

わ…私やっぱり学習してない…!!! 
またやってしまった!! 

「うぅ…そういう状況になると忘れてしまいます………すみません……」 
目の前に患者さんがいたら全部吹っ飛んでしまう 
何度も言われたのに…自分が情けない…! 


【ステイリー】 
「染みついてしまっているものは簡単に治らないとは思ってはいるのですが…、 
出来れば…僕がいる時くらいは気をつけていただけると…」 
目線を下げながら段々と言いにくそうに口ごもる。 

…話題を間違えた気がしてならない。 
話題を変えようとしてついいつものように先ほどヴェルノに対してやっていた 
医療行為の様を指摘をしてしまい、あろうことか本音まで口をついて出てしまった。 


【ルリア】 
段々と萎む声 
加えてさっきの怒ったような態度を指摘した時の顔 
一つ直感的に気付く。それは都合の良い妄想かもしれない 
それでも……もしかして… 

「…嫌……でした…か…?」 
自分で言ってて顔が真っ赤になる 


【ステイリー】 
「う……」 
どうしてこういうところは目ざといのだろう。 
その観察眼を璃王あたりにも発揮してほしいところだ。 

「すみません…最後のは、忘れてください…」 
付き合ってもいないのにそんなことを求めるのはきっと間違ってる。 

赤くなりながら気まずそうにそう言った。 


【ルリア】 
…ヤキモチ…?と頭の中で繋がった 
確信した瞬間一気に心臓が跳ね上がる 

……妬いて…くれるんだ…… 

それは恋人を選ばなかった以上言えない感情 
自分にも身に覚えがありすぎる 

「私…も…私も…ゴメンなさい…。妬いてました… 
ヤマト先生のところで……ロニヤさんに…少し……」 

後でロニヤさんには謝った。けど彼女はちょっとそれどころじゃなくて伝わったか怪しいけど 
何だか段々嬉しくなってくる 

そっか、同じなんだ 

「我が儘言いたくなくて…言えなかったのです。…ゴメンなさい…」 
恋人を選ばなかった以上言えない言葉や望みが沢山ある 
それでも嫌な気持ちを我慢するのは良くない 

「私達考えがお揃いですね」 
抱いた気持ちも、言えない理由も 
何もかもが重なる 
似た者同士な気がして嬉しい 


【ステイリー】 
「ヤマト先生のところでロニヤさんに…?」 
先日研究室でロニヤを眺めていた時裾を引っ張られたことを思い出す。 
その時は何故引っ張られたのかわからなかったけれど…妬かれていた…のか? 

思い出すと同時に妬いてくれていたことに嬉しさを覚えてしまう。 
我が儘を言えなくしているのは自分のせいなのに、 
それでも彼女は自分のことを想ってくれているのかと。 

「お揃い…ですか」 
お揃いという言葉がなんだか無性にくすぐったい。 


【ルリア】 
「そう。お揃い、です」 
ちょっと悪戯っぽく笑ってみせた 
私達は同じ様に嫌だった 

「これからは本当にちゃんと、気を付けますね。だって…その…好きな人に嫌な思い…させたくない…ですし…」 
自分で言ってて恥ずかしくて真っ赤になっていく 
思わず顔を伏せてしまった 


【ステイリー】 
最初はただの忠告だった。 
医療行為としてやってるにしてもいずれきっと誰かの勘違いを招きかねない世話の焼き様に顔の近さ。 
でもいつからかわからないけれど個人的な感情も入っていたに違いない。 
他人に対して行う医療行為を初めて目の当たりにして少し、 
妬いてしまった自分の身勝手さが嫌になると同時に恥ずかしい。 
それでもルリアの言葉を聞いて改善に繋がってくれたのならと、前向きにとらえることにした。 

「あり…がとう、ございます…」 
赤くなって顔を伏せたルリアと同様に自分も思わず同じ様にしているのに気付くと 
本当に似た者同士だな、なんて思わずにはいられなかった。 


【ルリア】 
お礼を言われ目線を上げると真っ赤になっていく姿。しかも私と同じように俯いていく 

やっぱりお揃いだ 

嬉しくて嬉しくて仕方なくなる 
うん、今度からちゃんと気をつけよう 
大好きな人の前ではせめて 

「クローシアさんのとこに衣装取りに行きましょうか?」 
笑顔で提案すれば同じ笑顔で帰ってくる 

もうすぐハロウィンだな、って思いながら気持ちが自然と浮き立った 
彼の友人が用意してくれたって言うお揃いの衣装が楽しみだなって考える 

ドアを開ける直前ちょっと思い付いた 
彼にだけ聞こえるように背伸びをして耳元に囁く 
「…大好きですよっ。だから本当に気をつけます」 

この気持ちも、お揃いでありますように 


Fin. 

*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---* 

bottom of page