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…あれからどの位たったのだろうか?そこまでたってない筈なのに一日がやたら長く感じる気がする 
貴方に会えない日々は心が一回くじけて以来気が重くて仕方がない 

兎に角周りに迷惑だけはかけたくない一心で人前ではそれなりに取り繕ってはいるけどでもやっぱり沈んで見えるらしい。割と目立っていた髪の星をつけなくなった事、あれだけ仲良く一緒に居たステイリーさんと一緒の姿が見えなくなった事から私の失恋を察する事は簡単だっただろう 

余程弱って見えるのか自分に支えさせて欲しいなんて言ってきた人もいた。けどそういう告白の類は全て断った 

他は要らない。代わりなんてもっと要らない 

私が欲しいのは、好きで焦がれるのはこれからだってずっとあの人だけ 
それだけは絶対に変わらない 

…私は本当に父親に変な部分が似てるのかもしれない… 
好きになったらその相手以外が目に入らなくなる。傍に居れる時間を失ったとしても…恋は消えない 


どうすればよかったんだろう?どうすればあの人を追い詰めずに済んだんだろう?最近考えるのはそんな事ばかり 
…好きな気持ちを諦めれていたら…良かったのだろうか? 
私はそれが出来ない。どうしたって…追い詰めて、好きだって言ってくれた私を突き放させてしまってまで…私は恋に溺れている 

今、貴方はどんな気持ち? 

ふと、声が聞こえた気がして思わず探す 
…見つけてしまった…。私は二階の廊下の窓から外にいるステイリーさんを見つめる 

もう、久しぶりな気すらするあの人の姿… 
最後に触れた唇を知らず指がなぞる 


…貴方に会いたい。声をかけたい。お話がしたい。…傍に…行きたい… 

胸が痛んで涙が自然に溢れてくる 
大好き、大好き、大好き 

今だってこんなにも… 
それでも、私はここから何一つ動けない。我儘はもう何一つ許されないと首を振る 


…普通にしているように見える貴方が今…傷ついて居ないといい… 
私を傷つけたと…自責を抱えてないといい… 

…友達と話す貴方が今…寂しくないなら…私はそれで… 


相手に気付かれる前にそっと目線をそらす。そして誰もいない教室に入り隅にうずくまる 

「…ふっ…う…っ……!!」 

私は弱い人間だ 
相手にもう一度会いに行く勇気もない。何かをしようとする行動力もない 
ただ、一人になるとこうして毎日泣くだけだ 

けどこれでいい。貴方の知らない場所で、一人で勝手に傷ついて、恋をして、痛みを感じ続ける事こそが自分の罰だ 
この痛みは消さない。忘れない。手放さない 

相手がこれからどう変わろうと、私はここで立ち止まる 
それが私の恋の終着点 

涙をこぼしながら、私は一人、ただ恋をしていた… 


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二階の窓に彼女の後ろ姿が見えた気がした 

見上げていると友人に声をかけられ我に返る 
相変わらず無意識に彼女を探してしまっている自分がいることに辟易しながら会話を続けた 

魔導学院は広くて学科も違うから意識しなければ会う事は滅多にないけれど、あれから寮や病院へ見舞いに行く時も彼女が居そうな時間帯は避けるようにしている 

それでも先日書庫に寄った際についいつも使っていた小部屋を覗いてしまった 
そこにはまさかの彼女がいて、泣きつかれて眠っているようで 
そのまま床に放っておくわけにはいかず、ソファに運んで貸出のブランケットをかけた 

少し痩せた気がする 
その姿が痛々しくて胸が痛む 

髪飾りにかけた魔法が切れているのに気付いたけれど、もうかけ直すわけにはいかない 
友達の証としてプレゼントした魔法 
効果が切れるたびにかけ直すと約束したけれど、半ば無理やりだった友達という関係ももう終わった 
今となっては自分を思い出してしまう代物でしかない 

それでいい 
この魔法と同じように彼女の中から僕が消えてくれれば 

流れた涙を拭って、名前が漏れた唇に触れたところで頭を振ってその場を逃げるように後にした 


愛しくてたまらない 


蓋が壊れてしまったように想いが溢れだす 
だから、もう傍にいれない 

……今もどこかで一人泣いていたりするのだろうか 

きっと辛いのは今だけだ 
こんな酷い男、嫌ってくれてもいい、忘れてくれてもいい 
他に男が出来ても彼女が笑う事が出来るのなら遠くから祝福しよう 


痛いのは僕だけで十分だ 


ルスの何もかもを奪った咎と、貴方を傷つけた咎を、僕は全部一人で背負っていきますから 
貴方はどうか、立ち止まらずに前に 

「……さようなら……」 

今一度ケジメをつけるように呟いて、僕は背を向け歩き出した 



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