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今日のニュースを見てからずっと話したかった人を見つけた 
慌てて声をかける 

「ステイリーさんステイリーさん!!」 

最近は整えるようにしてるくせっ毛頭の人が振り向く 

「ルリアさん。どうしました?」 

「今夜お一人なら一緒にどうです!?」 

何故か彼は渋い顔をした 

「……言わんとする事は理解しました。けど周りが聞いたら誤解するのでもう少し…その…」 

自分の言った事を頭で反芻して顔に熱が燈る 

「あ、あのあの…!天体観測…一緒に…しませんか…?」 

今日は流星群が来ると聞いた。星が好きな彼なら観測するかと思って 
それで誘いに来たのに…何してるんだろ…私… 

「えぇ。構いませんよ」 

嬉しくて更に顔が熱くなる 

「はい…!では夜に!」 

最近はこの人といれるのが更に嬉しくて仕方ない 



「…よく考えると貴方も大概寮に帰らないのでは?」 

人気のない屋上で学校の設備の望遠鏡をいじりながら呟かれた 
…否定しません 

「半分図書館の住人ですよね」 

「私も人の事言えませんけど貴方は女性なんですからもう少し気をつけた方が良いですよ」 

ちゃんと注意してくれる相手がいるのは幸せな事だな… 
くすぐったい 

「じゃあステイリーさんが居る時は隣に行くとか」 

「根本的解決になってません。………後私も男です…」 

「でも一緒なら一番安心します。ステイリーさんなら大丈夫ですし」 

あれ?なんか俯いちゃった 

「…それはどうも…」 

疲れた様子でセットを終えた 

「思えば一緒に夜を過ごした回数もそれなりになりましたね」 

図書館引きこもり組として夜会った時そのまま一緒に本の話で過ごした事も何回か 

「そうですね…。……今更ですが大丈夫ですか?」 

「え?」 

「えじゃなくて…その…噂になったりするかもしれないですし…」 

「…ステイリーさんなら気にしません 
ステイリーさんは気になりますか?」 

…気にする相手、居るのかな…? 

「…貴方が良いなら良いですよ」 

何だかんだで彼は私に甘い 
その優しさが嬉しい 

そして隣り合い夜空を眺め始めた 

星が一つ、二つと流れ始める 
遠い空の美しい光景 

今の私には昔みたくそれは寂しい物じゃない 
隣に人が居るのは、幸せな事何だと改めて感じる 


それからしばらくして 

…まずいな…。眠くなってきた 
暗いから本は見れないし…静かで… 

「ルリアさん?」 

「…ん…」 

目の端に、ステイリーさんがくれた星が小さく光る 

「寝るならせめて建物の中に…」 

あー…やっぱり優しいなぁ… 
誘った人間が寝そうなのに…… 

「私…この星好きです…」 

髪飾りを指で動かす 

「そうですか。有難うございます」 

「…うん……好き……」 

限界で、彼の肩に寄り掛かる 

彼はため息をついた気がした 

「…何だかな…。信頼されすぎなような… 
…頼むから…もう少し警戒して下さいよ……」 

優しく髪を撫でられる感覚が心地いい 
遠く離れていく意識の中、体が浮く感覚が最後だった 
瞼の裏には彼の星が映ってる気がした 


翌朝 
しっかりソファーに寝かされてた私は絶賛謝罪時間中 

「本当にすみませんでした……」 

「いえ…。ですけど…その…本当にもう少し気をつけて下さい……」 

うぅ、そうだよね。誘った側が寝たら面白くないよね…! 
しかも運ばれちゃったなんて!! 

「…重くて申し訳ありませんでした…」 

「いえ、そこは大丈夫でしたから。…こちらこそ勝手に…」 

二人して無言 

「も、もう良いことにしませんか?」 

「そうですねっ…!!」 

顔が、熱い 
ステイリーさんの顔も赤いから更に熱くなる 

やっぱりとてもくすぐったくてたまらない 


好き 
無意識に伝えた言葉の意味は、まだお互い知らないままだった 

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