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今日はぼくの誕生日である 
迷い間違いなくそうである 
だからと言って何だって訳じゃない。両親から届いた贈り物を受け取り何でもなく一日を過ごす 
…そう出来たらいいのに…とため息が出る 

きっと、いや絶対レティは何かを仕出かす。その確信があった 
毎年毎年お祝い♪と称して頑張ろうとしてくれるのは伝わるのだが… 


いつぞやは魔法を見せてあげる!で体が危うく焦げかけた事もあった 
いつぞやはダークマター料理をふるまわれ一週間意識が混濁する羽目になった 
ケーキをふるまおうとして手を滑らして盛大に床を汚した事もあったか… 
まぁ悪くない思い出もあれば印象的なこういう思い出も多い訳で 


今は家じゃない。この場に居るのは身内だけでもない。何でもかんでも御免なさい!で済む訳じゃないんだ 
とりあえず釘を刺そうと彼女の部屋に向かった時、丁度レティは財布を握って出て行くトコだった… 


「ちょっと待とうね?どこ行くの?お嬢様」 

「…ちょ、ちょっとお買い物ですわ!!」 

「一人で行かす訳ないでしょ」 

飛び出しそうな彼女を捕まえる 

「…が、学院では私だって一人で買い物する時間くらい必要ですわ!!」 

もっともらしい事を言う。これが平時なら止めない場面だ 

「なに仕出かすか不安だからついてく」 

「う………そんな仕出かすなんてしませんわ!!」 

「どーのーくーちーが言うかなー!?」 

レティのほっぺをむにむに弄る 
なかなか柔らかくて触り心地は良い 

「あにゅさひょっと…もう!レディーに何をするんですの!」 

「そういう言葉は一人前のレディーになってから言って」 

「失礼ですわ!前にも言いましたが私もう一人前のレディーですわ!」 

…だからどの口が… 

「今ですわ―!皆、頼みましたわよー!!」 

「は?皆?」 

慌てて追いかけようとしたら彼女付きのメイド達がぼくを囲んだ 

「…お嬢様一人にしていいの…?」 

駄目もとで呟いてみる 
彼女のメイド達は彼女にしか従わないのも分かってはいるが… 

「申し訳ありません、アズサ様。お嬢様には別の護衛を極秘につけておりますのでこの場は…」 

…身の安全を対価に行く事は出来そうにないか…とため息をつく 

「…分かった。じゃあ大人しくしてるから開放して」 

これで普通に部屋に戻れるはずだったのに 

「いえ、まだです」 

メイド達は何故か白いタキシードを用意した 

「本日はアズサ様の誕生日です。のでそれにふさわしい恰好を用意させていただきました」 

……悪ノリだな 
つまりはぼくを着せ替え人形にして遊びたいんだ…。彼女達から明らかにこれ着せたらきっと似合う!というオーラを感じる… 

「分かった…。着るから襲いかからないで…」 

無理矢理よりはダメージが少ない方がいい 
下手に年上の女性に逆らっても良い事はない。ぼくは彼女たちからそれを学んだんだんだから 



そしてまるで披露宴みたいな白いタキシードを着つつ学院内をレティを探して歩く 
やはり放っておくのは心配だったから 
着せ替えするだけしたら満足したのか解放されたし恥ずかしさをおしてぶらぶら歩く 
当てがない分半分諦めてるとも言える。それでも探さずにはいられない辺りやっぱり好きだから気になるのか、それとも長年の従者根性がなせる業なのか… 

(…好き…なんだよな…レティの事…) 

改めてなんだか恥ずかしくなる 
長年培った性格も互いの関係性もそんなすぐ変わるものじゃない。けど確実に気持ちは自覚してから変わってる 
傍を離れると不安になるし気にかかる。声が聞きたい。その髪に触れたい 
ちょっと前までなんでもなかった事が無性に恥ずかしく感じるようなった 

そんな気持ちを悟らせないよう隠しつつ過ごす日常。いつまで隠しきれるのかたまに不安になってくる 


ため息をつくと目の前にこの学院にいるもう一人の王子様で有名なサラジュ王子様がいた 
(えと確か物腰柔らかで優しい人だったよね) 
…同じ王子でどうしてこう性格が違うのか… 
まぁ贅沢は言えないけどさ… 

「おや、アズサ殿。御機嫌よう。学院は慣れましたか?…なにやら立派な衣装を着てらっしゃいますが何かありましたか?」 

「御機嫌よう、サラジュ様。お陰様で大分慣れました。お気遣い有難うございます。えと…その、本日はぼくの誕生日で…それで少々身なりを整えられてしまいまして…」 

「おや、そうなのですか。それはおめでとうございます。紳士らしい着こなしで素敵だと思います。…そうですね…何かあれば良いのですが…」 

「あ、いえ。お気になさらず。お気持ちだけで嬉しいです。それよりレティシアお嬢様見かけませんでしたか?」 

「申し訳ありません、彼女は本日はお見かけしておりません…」 

王子様が申し訳なさそうに頭下げる。…良い人だ… 

「そうですか。有難うございました。ぼくは彼女を探しに行きますので失礼しますね」 

相手に頭を下げて捜索を続行する事にした 


暫く歩いていて次に見かけたのはコノハさんだった 

「アズサ君、気合入ってるね」 

なんだかニヨニヨされてる気がするのは被害妄想かな…? 

「お誕生日なんだって?はい、これどうぞ」 

と恋愛成就のお守りを手渡された 

「…どういう意味ですか…これ…。それとこの服はぼくの趣味じゃないですからね?」 

「私お守り作りも出来るから是非にって思って」 

返答になってない返答をされレティを見かけてない旨を聞いて別れた 
…あれは絶対からかってた… 


次に出会った人は最近取り始めた講義の先輩、ぼくが干渉魔術に興味を持った切欠の人 
ヒビキさんだった 

「そういえば、誕生日なんだってね?俺からはこんなのだけど要るかな?」 

と干渉魔術入門の本をくれた 

「わぁ…!!有難う、ヒビキさん…!!嬉しいです。使わせて頂きますね!」 

まだまだ干渉魔術に関しては分からない事の方が多いから正直ありがたい 
素直にお礼を言って相手に笑いかけたのだった 
やっぱりこの人わりと好きかも 


…みなどこから聞きつけるのか次に会ったのはルリアだった 

「あ、あの…!お誕生日と聞きまして…いきなりで大した物を用意出来ませんでしたが…!」 

そう言って彼女はブックカバーを差し出してきた 
青系の色で栞になる紐も付いててなかなか悪くない 

「いや、むしろわざわざありがと。使うよ」 

「…は、はい…!はい…!喜んで頂けたなら…なによりです…!」 

…何と言うか、こう嬉しそうにされると妙に照れるなぁ… 
こっちがお礼を言う側なのに…向こうのがなんでそんな嬉しそうなんだか… 
ルリアは天然気味でずれてるとは思うけど、悪くない人だよなぁ… 


次に手渡されたものは…はじめて君の恋愛心理学と言う名の本だった… 

「おめめとー☆そろそろ将来の事考えちゃったりするお年頃かなー? 
 お姫たんとの事で困ったら、いつでも研究室にいらっしゃい」 

…相手が誰かは名前を出さなくても分かるであろう。なので割愛する 

「………どうもわざわざ有難うございます…。将来は…仕事をどうするのか考えてはいます」 

何でこんな本を!?嫌がらせな訳!?と激しく突っ込みたい気持ちをどうにか抑える 
…そこまでぼくは分かりやすく恋をしているのだろうか…。何だか…それはそれで嫌だ… 


次に見かけたのはルリア曰く明るくてオシャレな良い人…なクローシアさんだった 
意外にも友人だというステイリー先輩と歩いていた。…ステイリー先輩は真面目で良い人でこういうタイプには振り回されそうにしか感じないのに友達…。世の中は分からないものだ… 
ぼく的な感想は人に迷惑衣装を着せるのを生きがいにしてるはた迷惑な存在ではあるのだが… 

「アズちゃんお誕生日なんですって?最近これのオーダーメイド始めたんだけどアズちゃんにプレゼントとしてあげるわ☆等身大欲しかったらいつでも作るから買ってね♡」 

…とぼくの手に渡されたのは…[レティミニ抱き枕(バストアップ)] 

「被害者を増やすな…!」 

あ、先輩も被害者なのか…。あれだな、きっとルリアの枕だったんだろうな… 

「先輩も苦労してるんですね…」 

とまずは同情の目を向けてクローシアさんに向き合う 

「…返品します。ちゃんと処分して下さいね?要りません。なんでこんなのつくるんですか?意味分かりません」 

こんなはた迷惑なもの必要ないし嬉しくない 

「そう…せっかく作ったのにいらないのね… 
 ま、いいわ、レテちゃん可愛いしすぐ買い手がつくでしょ♪」 

は?今なんていった!?買い手!? 

「ちょ…!?何で売るのさ!?困るんだけど?相手はお姫様なんだよ!?勝手にそんな事されたら困る!駄目!絶対!!却下!!」 

年上の女性相手に速攻でタメ口になったけど気にもならない 
勝手に作って勝手に売るってそんなの許すわけにいかない 

「だってせっかく作ったんだから大切にしてくれる人に使ってもらった方が嬉しいじゃない?」 

「先輩の思考回路は意味が分からない…!!分かったよ、自分で処分する!」 

そう言って相手から枕を奪い取る 
…本当にどうしろと言うんだ…これを… 

そしてこの場に商人のメティさんにリュンヌさんがやってきた 

「あ、いたいた。誕生日だってね。おめでとう」 

「おめでとう、アズサ君」 

人懐っこい笑みが商人さんっぽいよな…とか感じる 
対してリュンヌさんは本当楚々とした雰囲気で綺麗で妙にどぎまぎする… 

「有難うございます。嬉しいです。え、えと…リュンヌさんもわざわざ有難うございます…」 

う…なんだかこう…妙に気恥ずかしい気が… 

「月ノ雫で作ったミサンガだよ。満月の夜に願い事をしてみてね」 

と彼女は綺麗なミサンガをくれた 
…本当に綺麗だし…願い事って…レティが好きそう… 

「わ、わざわざ有難うございます…。月の雫ですか…。あ、あの…これ…その…いくら出したらもう一個貰えます…?」 

こういうの頼むのもどうかと思ったけどどうせレティは欲しがりそうだしだったらお揃いも悪くないかな?と思った 

「あ…!じゃあもう一つプレゼント。小さなものだから全然大丈夫。お金はいらないからね」 

…気を使わせてしまった… 

「あ、すみません…なんかねだったみたくなってしまいましたね…。でも…その、有難うございます。これ一つ…幼馴染にあげて大丈夫ですか?」 

彼女は勿論よ、と綺麗に笑ってくれた 
…なんかこそばゆい… 

「はい、これ僕から。シトリンのカフスボタン。財運があがるよ!(縁結び効果もあるよ) 
 …と言うか…なになに…抱き枕…そんなの、そんなの……………欲しいに決まってるじゃないか…でもバレたらまずいから、ちゃんと隠しておかないと!」 

何か()で余計な言葉があった気がしたのはスルーした 

「へぇ…商売人さんらしいセレクトだね。うん、有難う。財力はあるに越したことはないもんね 
 て言うか………欲しいの…?抱き枕だよ…?」 

意図的に冷ややかな目線を向ける 

「セクシー柄、悪くないよね」 

と超小声で彼はつぶやいた 

「…そう…。でもそれ…変態っぽくない…?普通相手がそんなの持ってたら引かれると思うけど…大丈夫なの…?」 

普通に考えれば大丈夫じゃなさそうだけど…まぁ…あとはクローシアさんが作るかどうかだ…。ぼくに関わる事じゃない… 
そう思って逃げる事にした 



「結局レティ見つからないし…」 

荷物も多くなってきたから一旦部屋に帰るか…。しかしこの抱き枕をどうするべきか… 
何でそうなったのか未だに理解しきれないけどぼくはあのぼくの国の方の王子様と同室なのである… 
…見つかったら何を言われるか… 
そんなことを考えていたらサラジュ王子様がぼくを見つけて小走りで近づいてくる 

「あ、此方にいらっしゃいましたか。お会い出来てよかったです。はい、これどうぞ。お祝いです」 

と桃饅頭をくれた 
…律儀だ… 

「えと、わざわざぼくの為に有難うございます」 

どんな食べ物なんだろう…?王子様だしやっぱりセレブな食べ物!? 
でも饅頭って確か庶民的な食べ物だったような?ちょっと中を覗いてみると実に美味しそうで高級そうなのが見た目で伝わる 

「あと、レティシアさんは先ほど寮に向かって歩いて行くのを拝見しました」 

「あ、そうなのですか…。本当に有難うございました。助かります」 

…良い人だ… 
本当にいい人だ… 
改めて御礼を重ね、ぼくは寮に帰ることにした 



まずは何をおいてもこの抱き枕を処分しなくては…!なんとしてもレティとあの阿呆王子に見つかる前に…! 
と彼女の部屋より先に自分の部屋に向かう 

しかし誕生日のクセに運は悪かったらしく部屋に入るなりレティがいた… 

「もう!アズサってばどこにいましたの!?ぜんっぜん帰って来ないから待ちくたびれましたわ!」 

内心焦りながら極力平静を装って枕を見つからないようがっちり抱きかかえる 

「最初ぼくを置いていったのそっちじゃんよ。何?用事済んだの?」 

…うっかりしていたけどレティから何かが来るその何かも問題だったんだ… 

「そうですけれど…」 

レティは見るからに沢山の贈り物を見て顔をふくらませる 
…こういうとこは子供っぽいなぁ 

「お嬢様なんだからみっともないからやめなって」 

そう言って額を指でちょんとこついた 

「これ、サラジュ王子様から贈り物に桃饅頭を頂きました。良ければどうぞ」 

「…何いきなりそんな口調人前でないのにしてるの…?何かおかしいわよ?」 

…ちょっとテンパったか… 

「別に。食べないならぼくが一人で食べるし良いよ」 

「食べないとは言ってませんわ!わー、美味しそうですわね!」 

…相手が単純で助かった… 
彼女が饅頭に気を取られてる隙に何とか枕を隠す 
兎に角今を切り抜ければ良いんだ 

荷物をとりあえず置いて彼女の隣に座る 
…しかし人の貰いものだって言うのに遠慮なく食べるなぁ… 

自分も食べてみることにした 

「頂きます。…美味しい…!」 

やはり見た目通り高級品って事なんだろう 

「そうですわね!とぉーっても美味しいですわ!!」 

あーぁ…。本当遠慮なく食べて…。まぁ良いけど… 
…あ、そうだ 

「リュンヌさんに誕生日にペアで貰ったかから…良いって言うし…お嬢様に一個どうぞ。満月の夜に願い事すると良いんだってさ」 

リュンヌさんから貰った月のミサンガを彼女に手渡す 

「え?これわたくしに・・・?わぁぁっありがとうですわ!!お願い事・・・・」 

そう言ってレティはぼくをじーっと見る 
…ちょ…。部屋に二人きりの状況でそれは落ち着かないんだけど…!? 

「んふっ。願い事きめましたわっ!今夜満月だといいなぁ~」 

満月は来たばかりだからまた少し先なんだけど楽しみにしてるからとりあえず口に出さない 
喜んでくれた事に安心する 
…やっぱりぼくには…レティが笑ってくれるのが何よりの贈り物みたいだ… 

…しかし…なんて嬉しそうに笑うんだか… 

「ね、ねぇ…アズサ」 

彼女は急に手を後ろにしてもじもじしだした 
…これはあれか…。覚悟の時間か… 

「ここここここ…コレわたくしからアズサにプレゼントですわ! た、誕生日おめでとうなのですわ!」 

…何を盛大にかんでるんだか…。と言うかそんな緊張して渡すような物なの? 

「あ、ありがと…開けていい?」 

「えぇ」 

封を開くとそれは手料理ではなかった 
それにまずは大いなる安堵を覚えたのは仕方ないだろう 

中にあったのはペンダントだった 
二つ並んで輝くルビーとサファイア。中央で光るのは…ムーンストーンだと思う 
珍しいデザインな気がしたのでまぁ金の力を使ったオーダー品の可能性が高そうかな 

「ペンダント…凄い綺麗だね」 

うん、綺麗だ。素直に綺麗だ 

「か、感動しちゃったかしら?」 

レティはぼくの反応を見るのももどかしそうにそわそわする 

「したわよね?当然よね?だ、だってわたくしがデザインしたペンダントですもの! ばれないように手配するの大変だったんだから!それとねそれとね…!」 

レティは聞いてもいないのにデザインの苦労とか手配の苦労とかばれないようしていた苦労とか語りだした 
…デザインしたんだ… 

「それからね!店主が言っていたのだけど…そのペンダントの中に好きな人の写真を入れるんですって」 

あぁ、ロケットペンダントだからか 
よくある話だなぁ…ってまさか 

「好きな人の写真ねぇ…」 

そう言いながらペンダントを開けてみるそこには半分程度は予想したのが入ってた 

「…ってコレさ…なんかもう既にお嬢様の写真入ってるんだけど?」 

えーと、これはどういう意味に取れば良いのかな? 

暫しの沈黙 

レティはふてくされたようにそっぽ向く 

「う、うるさいっ!す、素直になれないアズサの為にわたくしが気を使ってあげましたの!」 

「そ、それはぼくのためなの…?」 

…レティがぼくの気持ちに気付いてるとかは…ないな(断言) 

「そ、それに…わたくしがアズサしか見てないのにアズサが他の子を見るなんて生意気ですのよ」 

…聞き様によっては愛の告白だろう、これは 
顔が一気に熱くなった 

ばーっか!とか言いながら照れ隠しするレティの好意は多分(と言うかほぼ絶対)幼馴染としての好きなんだろうけど… 
本当独占欲強いよね、このお嬢様は 

「アズサはわたくしのものでしょう!だからこれでいいの!!」 

あー…まぁ間違ってないか 
何かおかしくなってくる 

「…ぶっ…なにそれ、ほんとレティって我儘だよね」 

「し、失礼な!素直に喜んでなさいですわ!!」 

「はいはい、どーも」 

やっぱり素直な言葉は口からは出ない 
それでも感謝はしてるから心の中だけで 

ありがとう、レティ 

って呟く 



頭でも撫でてあげようかと手を伸ばしかけたら扉が開く音がして同居人が帰ってきた 
…間の悪い… 

「おーい、アズサ。今帰ったがこれは何だ?俺は人の趣味にとやかく言うつもりはないが・・・ほどほどにな」 

と阿呆王子がよりにもよって…抱き枕を抱えてきやがった… 

「へ、へ、へんたいですわぁあああああああああああああああああ!!!」 

とレティは叫んで猛ダッシュで逃げ出した 

「ちょっと!?レティ!誤解誤解!!!」 

思わずレティ呼びして追いかける…押し付けられた贈り物と説明してなだめるのに時間がやたらかかった…。あいつ…いつか仕返しする… 



後日 
満月の日 
リュンヌさんから貰ったミサンガを光にかざして願い事を考えてみる 
(ぼくは何を願うんだろうか…?) 
相手を好きだって自覚したとこで身分差は変わらない。ぼく自身そこまでの覚悟があるのかもまだ分からない 
今、自分が願うとしたら… 

(…レティの願いが叶って彼女が幸せになったら良いな…) 

そんな願いだった 


自分は知らない。レティが願った願い事が【ずっとアズサの隣にいられますように】だった事を 

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