top of page

※アテンション 
このSSは某アバターゲームのユーザーイベントで創作されたキャラを使ったSSです 
興味ない方はバックをお願いします 
モブとはいえ人が死ぬ描写が入っています。苦手な方はご注意下さい 

―――――――――――――――――――――――――――――――― 


 俺の名前はルインズフェイト。普通のショートサイズの武器。 
 刀身に邪悪な力を封じられており、全てを破滅へと誘う魔剣と言われている。 

 そんな俺に最近主が現れた。自分の特性も知らず手を伸ばしたと聞いて呆れたが、それならその破滅の力を上手く飼いならすとこからだね、って明るく笑った 


 よく言えば明るく前向きで元気な青年 
 その実態は…単にバカなんじゃないのかと気付き始めて来た… 


 主は突然真顔で言いだした 
「ルイルイ。私は思うんだよ」 
「そのルイルイはだからやめてくれ」 
 なんでかこの主は出会って名乗るなりじゃあルイルイだね!と言って来た。ふざけているのか……? 
「君に風の力があればひっそりとあの女性のスカートがめくれ」 
「やめろ」 
「ちぇー、ルイルイは男のロマンをわかってなーいー」 
「分からないのはお前の思考回路だ」 
「いやだな、照れちゃうじゃないか」 
「ほめてないのになんで照れるんだ」 
「はっはっは。分からないなんてほめ言葉だよ」 
「全く持って分からない」 

 とまぁ、自分の主の言動は毎回こんな感じでただの阿呆である 
 …主選びを正直早まった気すらしてくる… 



「ルイルイ様」 
 主がどうしても人にきかせれない話をするから席を外せと言われ渋々近くの部屋で待機していたら、主の側仕えらしい執事のセバスとやらが話しかけて来た 
「その呼び方はやめてくれ……」 
「ほっほっほ。それは失礼。ルインズフェイト様」 
「…何だ?」 
「坊ちゃまとはどうですかな?」 
「別に…。訓練の時ひたすら素振りをやって貰ってるだけだ。能力はありそうだが実践の力は分からない」 
 そう、これもまた不満だ。俺の力を欲したわりにまだ、実戦で戦う機会を得れていない。 
「ほっほっほ。坊ちゃまは単に格好つけなのですよ。じきに分かります」 
「…確かにそうだな、あいつは」 
 日頃の軽い言動を思い返しため息をついた 
「格好つけるのがお好きなのですよ。ただ、貴方はまだ主人のことを知らない。故に年長者が余計なひとり言を喋りましょう」 
 何が言いたいのか気になって相手を見ると執事は微笑ましそうな顔をしていた 
「あのお方は、賢しい方です。そして怖がりなのです」 
 賢しい、怖がり。どっちも今見ているあいつとはかけ離れた印象だ。顔をしかめたのが伝わったのかにこりと笑われた 
「貴方はあのお方に選ばれたお方。どうぞ坊ちゃまを支えてやって下さい」 


 それ以上は何も語って貰えずなんだか狐につままれた気分であいつの話が終わってないか何となく扉の前に向かってしまった。 
 話さえ聞かなければいいだろうと物音に耳をすませたら―― 

 ガタン!と大きな音物音 
 一つなればその後大きく続く。戦闘の音だ 
「イルミナート!」 
 あいつは片手で首を絞められ、片手で振り上げられた剣を今にも振り下ろされ殺されかねない体勢にあった 
 とっさに自身の武器を構えてその相手をためらいなく刺した 

「…っおまえ…さえ……いなければ……」 

 それが相手の最後の言葉だった 
「……おい、死んでないか?」 
「……っ…まぁ、ね」 
 喉は潰れてなかったらしい。何度かせき込みながら平気だと言わんかごとく手をひらひらした。その袖口から太い針がからんと落ちる。 
「おい、ただの話し合いで危険はないんじゃないのか?俺はそう言われて無理矢理隣の部屋に押し込められた覚えがあるぞ?」 
「んーんー……。まぁ返り打ちに出来る準備はあったんだし?危険って程じゃないんじゃない?ルイルイは過激だなぁ、いきなりやっちゃうなんて」 
 頭に血が上った気がした 
「おい!お前な!殺されかけるののどこが……」 
「そんな事よりさ、ルイルイ」 
 奴の空気が最初会った時一時だけ感じた空気になった。張りつめたような、研ぎ澄まされた空気 
「力、勝手に使っちゃだめでしょ?主の言う事聞かない子はメッだよ?」 
 ……助けられておいてその言葉 
 耐えれなかった 
「何がだ!ろくに俺の力を使おうとしないのはどっちだ!?もう知るか!」 
 売り言葉に買い言葉。感情のままに自分は部屋を出て行った 



「おや?どうなされました?ルインズフェイト様」 
 執事が自分を見つけて声をかけてきた。不機嫌さを隠さず俺は相手を見る 
「……あいつにとって自分はどこまで軽いんだ?あの後何もなかったように御免ってばーと軽くまとわりつかれたぞ?」 
 そして鬱陶しくて振り切って庭に隠れていたのが現在だ 
 だけど時間をおいて考えたらあいつが異常なのが分かってくる。命を狙われれ、あんなことを言われて、何でもないようにするあの主は普通じゃない。いや、始めから規格外だけどそことはまた違う 
「……人類共通の敵が現れたら人々は美しくまとまると思いますか?」 
 急な質問に自身の経験から考えてみた 
「……無理だな。余程小さな世界ならまだ兎も角…」 
「この世界もその例にもれません。一丸にならねばならぬ時に情けない事です。人の敵は人でもあります」  
「……あいつは人と戦っているのか?」 
「……そろそろ時間ですね」 
「何が…」 
 聞こうとしたら静かにするよう仕草をされ首をかしげて指し示す先を見たら、奴が自分と似た形の剣をもって振りだしていた 

 どういう事か聞こうとしても執事は無言で引っこんでしまう。自分で聞けということだろうか…? 


「…三じゅう…って…あれ?ルイルイ?そんなとこにいたのかい?」 
「なぁ、お前なんで俺に似た剣なんて持ってるんだ…?」 
 分かりやすいバレバレな仕草で背中に隠して口笛を吹く 
「エー?ナンノコトー?僕シラナーイ?」 
「おい。俺はまだ怒ってるぞ?」 
「……はぁ。分かった、言うけどさ…」 
 まだちょっと往生際悪く言いにくそうにするのを一睨みしたら観念したように困った顔をしてこっちを見た 
「これは…練習用。君を振る時…あまりに扱いが下手だったらほら、がっかりするでしょ?…だからね。それだけ!格好よく振れるようなったら一杯付き合って貰うからほらほら、もう君は休んでいいよ!」 
「…そうか」 
 そうか、練習用か。まぁ隠したいならそれでもいいのか 

 ……って違うだろう! 
「いや!待て!別にそこまで今だって武器の扱い下手じゃないだろう?」 
「いやいや!まだまだだってばー!秘儀!イケメンの振りが出来なきゃ!」 
「なんだ!?それは!」 
「え、格好いい武器の振り下ろし方のことかな☆」 
「茶化すな!なぁ、お前…もしかして今日危険から俺を遠ざけたのか?」 
「あっはっは。武器を?危険から?まっさかー」 
 手をひらひらと軽くふる。そんな仕草にさらに苛立ちがつのる 
「じゃあなんでだ?俺がお前を裏切ると思ってるのか!?」 
 勢いに任せて胸倉をつかんだ 
「……そんなじゃないよ」 
 イルミはちょっと困ったように眉を下げた 

「……あー…もう、情けない話だから言いたくないけど…まぁこれ位は言わないとダメか…。ねぇ、ルイン」 
 ふざけてない呼び方をされ手を離し、思わず背筋を正した 
「君は言ったよね?邪悪な力があるって。破滅に導く剣だって」 
「……そうだ」 
「私はだから迂闊にその力をふるう訳にいかないんだ。その力が何を起こすのか、影響させるのか。破滅が私にだけ影響するのならいい。けど、この世界に済む人に影響するのならそうならないようしなきゃいけない」 
 賢しい人、そう言われた。こいつは 
「でもね、まだ分からないんだ。私は必要になったら力を躊躇いなく使う。けどその力がどういう形をしているのか知らないまま、使える力がないまま使う愚か者になる気はない」 
  
 イルミはそこまで言って息を吐いた 
「情けない主だってがっかりした?ごめんね」 
「別に…。というかそんな破滅的な力がある訳でもぽんぽん使える訳でもないし…というかそれこそ俺に聞けばいいんじゃないのか?」 
「自分の力でたどり着かないで答えだけ得てどうするのさ」 
「いや…調べたって分からないなら聞くのだって手段だろう」 
「…そうだね」 
 格好つけ、か。確かに。でも力を勝手に使うなって言った理由がやっと繋がった気がした。 
 足りないのは相互理解というやつだ 

 阿呆な奴 
 結論は最初から全く変わらないけど見方が少し変わったかもしれない 
「おい、知りたい事は答えるし訓練だって付き合う。そんな真似したものなんか使ってないで俺で素振りしてればいいだろう? 
 俺は、ちゃんとお前を知りたい。お前もちゃんと俺を使え」 
「え、そんないいよいいよ。ルイルイは休んでなって」 
「おい」 
 ジト―と相手を見る。変な遠慮とか、壁とか全部取っ払ってやりたくなる 
「え?何?私に惚れちゃったの!?いやん、それは照れるわー」 
「ふざけるな」 
「いや、ねぇそんな…」 
「俺は、お前の武器だ。常に供にある。使ってくれ」 
 剣を出し、相手に差し出す 
  
 今、自分の主は間違いなくこの相手だ 

「……全く…」 
 イルミはようやく観念したように俺を手に取った 
「ただ使うだけなら平気なんだね?」 
『それは扱うお前次第だな』 
「えー、ちょっとー!いきなりこのまま世界滅ぼしたら流石の私も吃驚仰天しちゃって泣いちゃうぞ!」 
『安心しろ、それだけはない』 

 そんな会話をしながらも主は自分を大事そうに手にして振りだす 
 まだ知らない互いの事を聞きながら

bottom of page