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※アテンション
​この話の前にミニチャで皆でお花見してました。ルリアは酔ってステさんの膝を枕にして寝て終わった状態です​

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それは暖かな風が吹き、花が咲き誇る春。 

皆で集まって花見をした。夜桜まで眺め酒も入っていた 
自分も酔ってはいるがふらつく訳にはいかない帰り道 

「うにゅ~…」 

間の抜けそうな声を出しつつ顔を真っ赤にして眠ってるルリアさんを落とす訳にいかない 
彼女は酔い潰れて僕の膝に頭を乗せ眠ってしまった。だから自分がそのまま寮に送るべく運んでいる 
少々飲まされたがなんとか意識を保ちしっかり彼女を抱き直す 

「…すてーりーさぁん…?」 

とろんとした瞳で彼女がうっすら目を開ける 

「起きました?」 

彼女はそこまで飲んでなかったみたいだがやはり弱い方なのだろう。ハロウィンの時も一気飲みしたら酒乱になっていたし 

「…あったかぁい……」 

彼女は心地良さそうに僕に身を預けてすりよる 
……心臓に悪い…… 

「歩けそうですか…?」 

「やです…。このままが良いです…!」 

駄々をこねるように彼女は身をくっつけてくる 

「…仕方ないですね…」 

甘えてくる彼女に苦笑いで返す 
酒が入ってるせいなのか、いつもより自分も彼女に寛容的になってる気がする 
身を寄せ合うのがくすぐったくて心地よくて、離したくない 

「…だいすき…」 

ふみゃっと柔らかく笑ってルリアさんはまた目を閉じた 



安心しきった表情の彼女 
対して僕は心臓がうるさくて、顔はやたら熱い 
沸き起こりそうになる衝動を必死でこらえながら帰路を急いだ 

彼女の部屋に入り起こさないように魔法で小さな明かりを灯してそれを頼りに寝室のベッドに下ろす 

…服の首元をゆるめてあげるべきなのだろうか… 
いや、やましい事は何もない。ないのだが… 

紅潮した頬 
長いまつげ 
あどけなさが残るけど最近本当に大人っぽくなってきた顔 
綺麗だと、美人だと、周りは評価するようなってきた 

以前より交流も広がってきて強くなってきて 
…自分の星がなくてもそろそろ彼女は大丈夫な気がしてくる 


違う 
まだだ 

まだ…手を離すには…早い 


友達だから 
この言い訳はいつまで有効なのだろうか… 

無意識に彼女の唇に指をあて、輪郭をなぞる 

薄暗い部屋 
二人だけの空間 

酒のせいか理性がぼやける 

無意識に 
吸い寄せられるように 

顔が彼女に近づいていって・・・・・・・・・ 


「…すていりーさん…?」 

ガバッという音と共に体を一気に起こす 

あ、あ、危なかった…!!! 
な、何をしてるんだ僕は…!!??? 

「…うにゅ…?」 

何があったのか相手が理解してないのが不幸中の幸いだ 

「部屋につきましたので、そのまま寝て下さい。お休みなさい」 

とにかく逃げたくて早口で言って立ち去ろうとする 
でも服を掴まれて引っ張られた 

「…まだ…一緒がいいです…」 

この状況でそれは、駄目だ 
理性がもうもたなくなる 

「す、すみません…!もう遅いので…失礼します…!」 

掴まれた上着を脱ぎ捨てて逃げるように立ち去った 



急いで自分の部屋に戻りドアを閉める 

そのままドアにもたれかかるよう座り込む 
息が切れてる 
心臓がドクドク言ってるのはそのせいなのか、それとも 


手出し、しそうになった 


それはいけないことなのに、理性が崩れると求めてしまう 

「落ちつけ…落ちつけ…」 

必死に自分に命令する 
けど目を閉じると浮かぶのは彼女の姿 

星を好きだと言ってくれた言葉 
応えることの出来ない自分をそれでも好きだと、それで良いと認めてくれる心 
傍で重ねた時間 
伝えあった好意 

自分はやはり彼女に応えられない 
自分を許せないのに、それなのに 
ふとした瞬間にわき上がる独占欲に周りの男に対する嫉妬の感情 

好きだという気持ちがどうしようもなく溢れてこぼれそうになっている 

「…ルリア…さん…」 

呟いた名前 
それだけでも胸が締め付けられる 

のろのろ立ちあがり顔を洗う 

まだ、大丈夫だ 
今日は酒が入ったからだ 
それだけだ 

そうじゃなくなってしまったら・・・・・ 


僕は彼女から離れないといけなくなる 


自分のせいで恋人と別れ、今も苦しんでる親友を思い浮かべる 
わき上がった身勝手な衝動にきつく蓋をして、まだ隣に居る為に、忘れるよう閉じ込める 
この気持ちに捕まってしまったら何もかも終わりだ 

そうしてまた、次に会った時も何もない顔をして恋人じゃない関係を続けるしかなかった 



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